2014 Fiscal Year Research-status Report
脳組織内ニューロン移動メカニズム解明を目指した細胞内構造の多次元動態解析
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26640040
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
榊原 明 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (20510217)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ニューロン移動 / アクチン / 微小管 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
脳組織内をニューロンが移動する際には周囲にひしめく細胞を押し分けて核を前方へと転位させる必要があり、その破綻は脳奇形や精神発達遅滞などのヒト疾患の原因となる。ゆえに、ニューロンの核転位がどのようなメカニズムにより達成されているのか盛んに研究されてきた。しかし、従来、技術的な制約から、微小管と核、アクチンと核それぞれの局在変化を個別に解析してきたため、細胞内における相対的な局在の変化について解釈の難しい局面が観察されることがあった。この問題を解決するために、本研究では三波長蛍光ライブ観察の手法で微小管・アクチン・核の位相変化を同時観察することにより解析の精度を飛躍的に向上させ、核転位機構の実態に迫りたいと考えている。 今年度は、PACT-mKO1(中心体)、Lifeact-Cherry(アクチン)、ヒストンH2B-iRFP(核)を利用した三波長蛍光ライブ観察系を確立して、スライス培養下で脳組織内をニューロンが移動する際のそれぞれの細胞内局在変化を解析した。その結果、ニューロン移動の際に、核が中心体を追い越す形で転位するケースでは転位中の核後方にアクチン線維の濃縮が観察されるが、核転位に先立つ形で核前方への中心体の移動が観察されるケースにおいては必ずしも観察されないことがわかった。これらの観察結果は、核が中心体を追い越す局面では核転位の駆動力として微小管モーターではなくアクトミオシン系が利用されている可能性が高いことを示唆している。これらの結果は国内外の学会(第66回日本細胞生物学会大会、The 2014 ASCB/IFCB meeting)において発表した。現在、原著論文の発表に必要な追加データの取得を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度から中部大学生命健康科学部に異動となり、研究室のセットアップ等に時間を費やすことになったが、旧所属の名古屋大学において客員研究員の形で研究を継続することが可能であったため、研究の進捗への異動の影響は最小限にとどめることが出来た。しかし、現段階で必要な全ての実験を現所属において行うことが出来ないため、研究成果を原著論文として発表するために十分な数の観察例を集めるという意味では、やや遅れが目立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)初年度に引き続き、中心体、アクチン、核の三波長蛍光ライブ観察を行う。今後は原著論文の発表を視野に入れ、観察結果の信頼度を上げるために、観察例を増やすとともに、データの解析を進める。 (2)現在所属する中部大学において、多点で三波長蛍光ライブ観察を行うことが出来るように、共焦点レーザー顕微鏡の改良を試みる(電動ステージの導入等)。
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Causes of Carryover |
今年度は名古屋大学から中部大学への異動をともなったため、物品費、旅費、人件費などの使用が予想を下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、共焦点レーザー顕微鏡に電動ステージのオプションを追加するための費用、ライブ観察実験を行うために必要な物品の費用、得られた結果を原著論文として発表するための諸費用として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)