2014 Fiscal Year Research-status Report
新奇セマフォリン受容体阻害剤による中枢神経再生能賦活化への挑戦
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26640043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
生沼 泉 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (40452297)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ガイダンス因子 / R-Ras / afadin / 軸索 / 神経再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは、以前の報告で、神経細胞軸索の情報出力に重要な役割を持つ、軸索分枝の形成にアクチン結合足場タンパク質のafadinを介したアクチン細胞骨格の再編成が必要であることを明らかにしていた(MBoC., 2012)。afadinはR-Rasと結合することにより、細胞膜に移行されることで、軸索分枝形成を引き起こす。本研究期間では、afadinには2つの選択的スプライスによって生じるバリアント、l-afadinおよびs-afadinが存在し、s-afadinは分化後の神経細胞に特異的に発現していることを明らかにした。また、軸索の成長期にある神経細胞においてs-afadinは、内在性に神経軸索の分岐を抑制しており、定常状態では神経軸索の過剰な側枝の萌出を抑制している役割を担っていることがわかった。軸索分枝が活発でない時期の神経細胞において内在性のs-afadinの発現をRNA干渉によって阻害すると、軸索の分枝が引き起こされることがわかった。このことから、細胞の有する分岐化能を賦活化したためと考えられる。また、恒常的に細胞膜に移行するl-afadinの発現によっても、軸索の分枝増加が引き起こされ、また、軸索の伸長も引き起こされた。 これらの結果から、神経細胞においては内在に軸索の分枝や伸長を阻害している機構というものが存在するという新しい知見が得られ、さらに、その機構を抑制してやることで、軸索の分枝や伸長を賦活化できるということがわかった。これらの成果は、誌上発表した(MBoC., 2015)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経細胞においては内在において軸索分枝や伸長を阻害している機構を解明し、誌上発表に至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在までの研究で解明した、神経細胞において内在に軸索分枝や伸長を阻害している機構が、どのような上流刺激によって制御されているのかを検証する。さらに、神経伸長に阻害的に働く反発性ガイダンス因子の活性をコントロールできる分子の神経伸長効果について、in vitro および in vivo で検証していく。
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Research Products
(5 results)