2015 Fiscal Year Research-status Report
新奇セマフォリン受容体阻害剤による中枢神経再生能賦活化への挑戦
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26640043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
生沼 泉 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (40452297)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再生医学 / 神経科学 / ガイダンス分子 / 低分子量Gタンパク質 / アクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、損傷を受けた脳組織による機能障害への治療法の1つとして、幹細胞を用いた再生医療の可能性が脚光を浴びている。一方で、中枢神経細胞が高次脳機能を発現させるためには、神経細胞が存在するだけでは不十分であり、神経細胞が神経回路を構築する必要がある。それには、幹細胞を増殖させたり、外部から移植して数を増やすだけでは不十分で、まず第一に、神経繊維を伸長させることが必要である。しかしながら、神経細胞そのものを作出する幹細胞研究に比して、中枢神経の神経繊維の再生や回路再生の研究は進んでいない。損傷後に繊維性瘢痕で誘導される伸長阻害分子の生理活性が存在するため、その環境下では、移植した神経幹細胞からの神経繊維の伸長が妨げられ結局再生ができない。本研究では、神経細胞の内在に有する再生能を賦活化することで、神経成長を促進させることを目的としている。 本年度の研究において、神経軸索成長の新奇なメカニズムを解明した。それは、アクチン足場タンパクのafadinの選択的スプライシング依存的な、神経伸長の抑制機構である。afadinには選択的スプライシングによって産生される、l-afadinおよびs-afadinの長短2つのアイソフォームが存在し、我々の研究によってs-afadinがl-afadinの神経成長促進機能に対してドミナントネガティブに働くことにより、内在的に軸索成長を積極的に抑制していることを見いだした。この抑制機構を阻止することにより、神経伸長を促進できることから、このメカニズムの操作は、新たな神経再生のアプローチとなりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
軸索再生のターゲットとなりうる軸索成長抑制の新奇メカニズムを明らかにし、原著論文に掲載されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度までの培養細胞レベルの成果を、マウス個体レベルの系に持ち込み、見いだしたafadinのスプライシングのシグナル経路がin vivoにおいても神経成長抑制に関わっているのかを検証する。また、スプライシングの制御経路の同定や、スプライシングの可視化を行い、選択的スプライシングの制御を介した神経再生の可能性の検討の研究を行う。
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Research Products
(5 results)