2014 Fiscal Year Research-status Report
低重力環境で起こりうる次世代の形態・機能変化とその分子基盤
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26640052
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本道 栄一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30271745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 憲之 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (10302770)
大松 勉 東京農工大学, 農学部, 講師 (60455392)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低重力 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には優先順を一部変更した。すなわち、当初得られていた精巣において認められていた低重力環境下でのエピゲノムの変化(40か所の遺伝子近傍のDNAメチル化の変化)と精巣での対応する遺伝子のmRNA変化の相関性を解析することから、脳におけるmRNAの変化を検出することを最優先とした。つまり、40か所の遺伝子のいくつかはアルツハイマー関連遺伝子であり、これらの変化がF0の脳で発現が変化しているのかを調査し、それが精巣での遺伝子発現変化と相関するかどうかを先に検討することで、低重力環境が及ぼす生物学的に最も重要な現象を脳で捕まえようとしたからである。低重力環境に置いた脳および対照群との間でマイクロアレイ解析を行った。マイクロアレイには、Affymetrix社製のものを用い、正確性と網羅性を高く設定した。マイクロアレイの結果、低重力環境下ではmRNA発現プロファイルが著しく変化した。低重力群で最も増加した遺伝子は対照群と比較して4.65倍、減少したものは対照群の方が6.23倍増加していた。本マイクロRNAの結果を先の40個の遺伝子と比較したところ、最も大きく増減した遺伝子でも低重力環境下での増加率が1.61倍のものだった。すなわち、精巣のエピゲノムと脳のmRNAの相関性は、0.58 g低重力環境下と1.00 g環境下では低く、遺伝子発現調節機構が複雑である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度には、実験の優先順位を変えることで低重力環境下の脳でmRNAプロファイルが大きく変化することを見出した。また、精巣のDNAメチル化パターンとの相関性は低いことを明らかにした。当初の予定より興味深い結果が得られた点で進展度は高いが、当初の計画は一部遂行していない点を少し割り引いた。
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Strategy for Future Research Activity |
宇宙生物学の部分を一部重点をおさえて、「獲得形質の遺伝」の分子メカニズムの方へ少しシフトさせる。すなわち、体細胞から生殖細胞への連絡の分子メカニズムを解析する実験モデルを開発する部分を一部加える予定である。このモデル作製により、低重力環境下で起こる体細胞の変化がどのように次世代へうけつがれるのかについての分子基盤が詳細にかつ正確に検討できるようになると考えている。
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Causes of Carryover |
実験の優先度を変更し、一部の研究を追加、また一部を行わなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
行わなかった研究を平成27年度に行うので、そのときの研究用試薬(消耗品)の購入費にあてる。
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Research Products
(13 results)