2014 Fiscal Year Annual Research Report
非興奮性上皮細胞の膜電位の可視化とシグナル伝達のおける意義の解明
Project/Area Number |
26640057
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 淳 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (00362525)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タイトジャンクション / クローディン / 微小環境 / 電流 / 膜電位 / 上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
12指腸潰瘍では、潰瘍周囲の細胞が特殊に変化して修復のためのEGFを分泌する細胞に分化したり、細胞競合では周囲の細胞にアポトーシスのシグナルを送る。こうした細胞どうしの密接な相互作用は、増殖にともなって互いに押し合うメカニカルな刺激や接着分子からのシグナルなどで理解することが試みられてきた。細胞の接着阻害(コンタクトインヒビション)と呼ばれる現象は、細胞生物学者の興味から、長い間研究の対象となってきたが、現在でも十分な理解は得られていない。 コンタクトインヒビション、12指腸潰瘍周辺の修復細胞、細胞競合いずれも上皮細胞シート内での現象である。上皮細胞間のイオンの透過性は、細胞の密度の影響を受けること、通常タイトジャンクションをイオンが通過するときには、その電荷選択性から、拡散電位とよばれる電場が生じること、さらに考えられることは、局所のイオン環境や膜電位、アピカルとベーサルの膜電位のバランスまで崩す可能性がある。しかし、膜電位の変化やその変化が細胞内にどうした影響(例えば、カルシウム濃度の上昇や成長因子受容体のリン酸化など)を与えるかについての解析はほとんどない。 上皮細胞のタイトジャンクションが電流の抵抗や通路となることで、細胞の膜電位を制御し、細胞内のシグナルへつながると考える本概念は、非常に新しく、斬新的と思われるが、特に、微小環境[H+]が、細胞間透過性/上皮細胞シート電位に影響し、フィードバック的に細胞間の透過性をも制御する可能性を示唆した。
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