2015 Fiscal Year Annual Research Report
ハプロイドES細胞を用いたiPS細胞生成過程の制御因子の探索
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26640062
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
堀江 恭二 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30333446)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 再生医学 / バイオテクノロジー / 発生・分化 / ゲノム編集 / CRISPR / ES細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の本研究において、タモキシフェンの培地への添加によりCas9の発現を誘導できるマウスES細胞株を樹立した。本年度は、このES細胞株に対して、マウスの全遺伝子を網羅したguide RNAライブラリを導入し、タモキシフェンによるCas9の誘導による網羅的遺伝子破壊を行った。guide RNAライブラリは、piggyBacを骨格としたものを作製した。変異ES細胞の集団を分化誘導し、分化抵抗性のES細胞を選択するという過程を繰り返すことで、分化抵抗性の表現型が強い変異ES細胞を濃縮した。しかしながら、piggyBacベクターでは、1つの細胞に複数のベクターが導入されている可能性がある。このため、遺伝子破壊の効率が高いという利点と共に、表現型の原因遺伝子の特定が容易ではないという弱点も有す。そこで、選択後のES細胞からゲノムDNAを精製し、guide RNA領域をPCRで増幅後、レンチウイルスベクターの骨格を有すguide RNAライブラリを作製し、1細胞あたり1コピーのみベクターが導入される条件で、ライブラリの導入と遺伝子破壊を行い、分化抵抗性の変異ES細胞を選択した。得られた細胞からゲノムDNAの精製とguide RNA領域のPCRによる増幅を行ったのち、次世代シーケンサを用いて各guide RNAの出現頻度を定量した。高頻度に出現するguide RNAに対応する遺伝子は、変異導入によってES細胞が分化抵抗性の表現型を示すものと想定される。実際、guide RNAの出現頻度が上位に位置した遺伝子の中には、これまでに文献的に報告された遺伝子が高頻度に含まれており、今回の実験系が機能していることが示された。また、分化抵抗性の表現型が報告されていない遺伝子も、多数同定され、今回構築した実験システムの有用性が示された。
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