2015 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類疾患モデル作製にむけた霊長類パーソナルゲノム・トランスクリプトーム解析
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26640065
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Research Institution | Center for Novel Science Initatives, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
郷 康広 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター), 新分野創成センター, 特任准教授 (50377123)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 疾患モデル / 霊長類モデル / 認知ゲノム / ゲノム / マーモセット / エクソーム / 精神・神経疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト精神・神経疾患の霊長類モデル動物の開発のために、マーモセットを対象とした実験的認知ゲノミクス研究を行った。マーモセットはマウスのように近交系がなく、遺伝的に統制のとれた均質な集団ではないため、表現型にばらつきが生じる可能性が高いことが予想される。そこで、マーモセットのエキソーム解析を行い、精神・神経疾患関連遺伝子における自然発症機能喪失(Loss-of-Function; 以下LoF)変異を有する個体・家系の同定を行った。エキソーム解析を行う際に、ゲノム情報以外の表現型情報を有する個体からその原因遺伝子の同定を行う“Phenotype-Driven Approach”と、ヒトの精神・神経疾患関連遺伝子として同定されている遺伝子とマーモセットにおける相同遺伝子の変異解析を行う“Genotype-Driven Approach”の両面からの研究手法があるが、本研究では、“Genotype-Driven Approach”を用いて、日本国内において飼育・繁殖されている数百頭規模のマーモセットの網羅的遺伝的解析を行い、自然発症的なLoF変異を有する個体・家系の同定を行うことにより、ヒト精神・神経疾患をターゲットとした霊長類モデル動物の開発を研究の目的とした。具体的には、以下の配列解析を行った。 精神・神経疾患に関与が強く疑われる479遺伝子を解析対象とし、マーモセット369個体において精神・神経疾患関連遺伝子の配列解析を行った。その結果、41遺伝子においてマーモセット内において稀な(頻度5%以下)LoF変異を持つ個体がいることを明らかにした。さらに、精神・神経疾患に関与する可能性がより高い遺伝子に絞り込むと19遺伝子においてLoF変異を持つ個体を同定した。そのうち多くの個体はヘテロ接合でLoF変異を持つが、2遺伝子においては、LoF変異をホモで保有する個体がいることを明らかにした。
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