2014 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア機能亢進マウスを用いた癌の進展における代謝の役割に関する研究
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26640082
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山本 一男 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (70255123)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / トランスジェニックマウス / 白血病 / リンパ腫 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はまずカナダの研究機関所属中に作成したミトコンドリアの機能亢進を呈するトランスジェニックマウスを移送することから着手した。作製した系統の中から代表的なものを絞り込み、必要な頭数を揃えた後、トロント大学の研究施設から輸送業者を介して本学動物実験施設に搬送した。施設による検疫を経て、新たに購入した野生型マウスと交配することで系統の維持を開始した。産仔の尻尾の先端からゲノムDNAを回収し、1組の合成プライマーを用いてPCRを行い、遺伝子型を判定した。目的とするトランスジーンを有する個体を確認した後、系統維持のために野生型マウスとの交配を続ける一方、系統の保存のために一部の個体を精子保存作業に用いた。さらに、人為的にリンパ腫を誘導するために条件付きで癌抑制遺伝子Ptenをリンパ球特異的にノックアウトできるモデルマウスとの交配を行い、解析に用いるマウスの準備を始めた。これにより得られた産仔についてもPCRによる遺伝子型の判定し、実験群と対照群に分けて解析を行っている。 これらマウスの準備と並行して、培養細胞を用いた実験系の立ち上げを行った。まずミトコンドリア機能亢進の鍵となるトランスジーン産物を識別するために抗体または蛍光タンパク質タグを付加した人工タンパク質を発現するプラスミドを構築した。このプラスミドを用いて培養細胞を形質転換することにより、人工タンパク質を安定に強制発現する細胞株を樹立した。蛍光タンパク質タグを付加した人工タンパク質を発現する細胞に、様々な細胞内小器官で別の蛍光タンパク質を発現するプラスミドを一過性に発現させ、トランスジーン産物の細胞内局在を観察するなどの実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はトランスジェニックマウスの移送は夏までに終える予定であったが、必要な頭数を複数の系統で同時に揃えることが困難であったことと、海外の研究機関からの実験動物の受け入れ手続きに時間がかかったこと、さらに受け入れたマウスの一部に寄生虫感染が発見されたため検疫が予定外に長引いたことで実験の開始が遅くなった。 一方で、補完的に開始した安定形質転換細胞株の樹立に成功したことで、新たな解析システムを開発することができたことは今後の研究の発展に大きなプラスになったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り実験用マウスの準備に時間を要したが、現時点では全ての系統のマウスを安定に供給するシステムが出来上がっている。今後は、白血病モデルマウスと交配した系統を増やし、タンパク質合成効率をin vivoで測定する実験等を行い、ミトコンドリア機能亢進によるタンパク質合成や代謝能の変化が癌の進展に与える影響を見極める。また同時に安定形質転換細胞株を用いての補完的な解析や、in vitroにおける実験の長所を活かした蛍光タンパク分子マーカーによる細胞周期の比較観察などを行うことにより、マウスで観察されている腫瘍抑制の分子機構を調べていく。
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[Journal Article] Glutathione and thioredoxin antioxidant pathways synergize to drive cancer initiation and progression2015
Author(s)
Harris IS, Treloar AE, Inoue S, Sasaki M, Gorrini C, Lee KC, Yung KY, Brenner D, Knobbe-Thomsen CB, Cox MA, Elia A, Berger T, Cescon DW, Adeoye A, Brüstle A, Molyneux SD, Mason JM, Li WY, Yamamoto K, Wakeham A, Berman HK, Khokha R, Done SJ, Kavanagh TJ, Lam CW, Mak TW.
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Journal Title
Cancer Cell
Volume: 27
Pages: 211-222
DOI
Peer Reviewed
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