2015 Fiscal Year Annual Research Report
薬効・副作用予測のためのin situファーマコプロテオミクス解析
Project/Area Number |
26640098
|
Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
足立 淳 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, プロテオームリサーチプロジェクト, 研究員 (20437255)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | キナーゼ阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に構築した3次元ファーマコプロテオミクス解析を非小細胞肺癌細胞6株に対して行った。具体的にはEGF受容体阻害剤エルロチニブに対する耐性株4株(EGF受容体変異なし)と感受性株2株(EGF受容体変異あり)を用いて解析を行ったところ、EGF受容体に関しては、エルロチニブ100uM添加時と未添加時を比較すると、耐性株においてはATPプローブの標識量には有意な変化は見られなかったが、感受性株ではATPプローブの標識量が2.3倍減少した(p<0.01)。この結果は、EGF受容体の変異体ではエルロチニブがATP結合ポケットとの親和性が高く、変異が入っていない場合には親和性が低いことを意味する。これはリコンビナントキナーゼを用いた既存研究と一致する結果であることから、3次元ファーマコプロテオミクス解析の概念が実験的に実証されたと言える。3次元ファーマコプロテオミクス解析は分子標的薬の主標的(エルロチニブの場合はEGF受容体)以外の副標的も同定できる特徴を有するため、EGF受容体以外にも、感受性株と耐性株で違いが見られるエルロチニブの標的候補因子を探索したところ、TTLL12、PNP、CPNE3が検出された。これらのタンパク質はエルロチニブとの相互作用は報告されていない新規標的候補因子であり、今後検証を行っていく予定である。 本研究で構築した3次元ファーマコプロテオミクス解析法は、細胞の中でATP 拮抗型阻害剤がどの濃度でどのタンパク質をどの位阻害しているかを定量できるため、、新規薬効・副作用マーカーの創出、作用機序解明、さらに新規創薬標的同定に貢献することが期待される。
|
Research Products
(1 results)