2014 Fiscal Year Research-status Report
ナノディスクを用いたヘテロ二量体エンドセリン受容体のクロストーク機構の解明
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26640102
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土井 知子 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00397580)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノディスク / GPCR |
Outline of Annual Research Achievements |
ガン細胞の増殖、腫瘍化に密接に関わるエンドセリン受容体が形成するヘテロ二量体の、構造上のクロストーク効果やそれが引き起こすGタンパク質活性化能の変化を検討するために、平成26年度は、エンドセリン受容体のナノディスク膜への再構成法の確立を目指した。 まずは、ETAR、ETBRモノマーをナノディスクに再構成する系を確立するために、N末テールにFlagタグを挿入したETAR、ETBRやC末テールに1D4タグ、HAタグ配列を持つETAR 、ETBRを昆虫細胞で過剰発現する組み換えバキュロウイルスを単離し、リッターレべルで過剰発現させた。イムノアフィニティ―カラムとそれに続くニッケルアフィニティ―カラムによって精製できたが、ETARの発現量が十分でないので、想定以上の大量発現細胞が必要であることがわかった。次にリポタンパク質apoA-I誘導体(膜足場タンパク質(MSP))を大腸菌で誘導発現し、Ni-アフィニティカラムで精製し、ミリグラムレベルでMSPを回収した。精製したFlag-ETBR, apoA-Iタンパク質とリン脂質(POPC,POPG)とを混合し、Biobeadsによって界面活性剤を除去してrHDL粒子を調製することが可能になった。ショ糖密度勾配遠心によってrHDL粒子を分析したところ、biobeads処理したものだけに特異的に低密度画分にrHDL粒子を検出し、ETBRを含んでいた。得られたrHDL粒子について、ET1依存的なGi活性化能を調べたところ、リポソームに再構成したETBRと同等の高い活性化能を確認した。 本研究課題と並行した構造解析研究によって、ヘリックス4, 5を介して二量体は互いに相互作用すると考えられるが、ETBRのヘリックス5のフレキシビリティが極めて高く、細胞外側がET-1結合によって大きく曲がる性質があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
定性的に受容体をナノディスクに再構成し、活性測定する実験系は確認できた。受容体の精製量が十分でないために、再構成実験時の受容体濃度を十分高くできていない。このために、二量体形成効率が高くない。できるだけ、高発現細胞を蓄積して、大量に精製して高濃度の受容体溶液を調製することを目指す。また、低濃度でも、定量的に二量体を形成できるように、等量のFlag抗体存在下の再構成によって二量体形成を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
二量体のナノディスクへの再構成の割合を上げるために、Flag-tag受容体を用いてFlag抗体存在下の再構成を試みる。構造解析研究からヘリックス5の柔らかい構造が示唆されたが、受容体がBQ123のようなアンタゴニスト結合によってコンパクトで硬い構造になり、二量体の相方のリガンド結合性を調節している可能性が考えられる。ドッキング・モデリング解析によって、小分子アンタゴニスト結合部位やサブタイプ選択性を決めている残基が推定できているので、薬理解析によってこの可能性を確認し、新たな化合物の創出を検討する。さらに、どのような相互作用が二量体中の受容体のリガンド結合性に影響する可能性があるのかを検討する。
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