2014 Fiscal Year Research-status Report
改変型Fc受容体を利用した新規がん免疫抗体療法の開発
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26640104
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
玉田 耕治 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00615841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 正朗 山口大学, その他部局等, 学長 (70144946)
佐古田 幸美 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30629754)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗体医療 / がん免疫療法 / 遺伝子改変技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗体によるがん細胞の傷害は免疫細胞が抗体を介してがん細胞を殺傷する「抗体依存性細胞傷害活性(ADCC:Antibody-Dependent Cellular Cytotoxicity)」が重要な作用機序の一つであり、がんを認識する抗体の定常(Fc)領域とNK細胞などの免疫細胞の有するFc受容体(FcR)の結合により誘導される。NK細胞上のFcRとしてFcγ受容体IIIa (FCGR3A) があり、複数の一遺伝子多型の存在が知られているが、特に818番目の塩基がアデニン (A)からシトシン (C)となることで、158番目のアミノ酸がフェニルアラニン (F)からバリン (V)へと変化する一遺伝子多型により抗体に対する親和性が増強し、標的細胞に対し強いADCC活性を示すことが知られている。臨床的にも、FCGR3Aの親和性が各種モノクローナル抗体を用いた抗体療法の治療成績に有意な影響を与えることが報告されている。そこで本研究課題では、NK細胞に高親和性FCGR3A遺伝子の導入を行うことでADCCを増強し、抗体療法による治療成績を向上させることを目的として実施する。 平成26年度は、Flow cytometryにより16名の健常人におけるFCGR3A遺伝子の遺伝子多型を検証した結果、低親和性アリルホモ接合 (FCGR3A (F/F)) は7名 (43.8 %)、低親和性/高親和性アリルヘテロ接合 (FCGR3A (F/V)) は7名 (43.8 %)、高親和性アリルホモ接合 (FCGR3A (V/V)) は2名 (12.5 %) であった。続いてヒト末梢血より抽出したFCGR3AのmRNAから相補的DNAを合成し、レポーター遺伝子としてF2Aペプチド配列を介してEGFP遺伝子が組み込まれたMSGVベクターに挿入し、低親和性、高親和性それぞれのFCGR3A遺伝子が挿入されたレトロウイルスベクターを作製した。これを用いて、培養し活性化させたNK細胞に対し遺伝子導入をおこなった結果、低親和性FCGR3A遺伝子あるいは高親和性FCGR3A遺伝子の発現が誘導できることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間の研究計画の1年目であり、NK細胞のFc受容体の親和性を向上させるために必要な遺伝子発現ベクターの作製およびベクター導入方法の確立が達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、健常人およびがん患者のNK細胞に高親和性Fc受容体遺伝子を導入し、抗体存在下での抗腫瘍活性の増強効果について検証する。
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Causes of Carryover |
ベクター作製および遺伝子導入試薬等に要する費用が予定より若干削減されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に実施予定である、遺伝子改変NK細胞の抗腫瘍効果の検討に要する費用として使用する。
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