2014 Fiscal Year Research-status Report
人工ヌクレオタンパクを用いたRNAウイルスの高感度検出系の開発
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26640125
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
開發 邦宏 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (70419464)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝子診断 / 擬核蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画通り、インフルエンザウイルスの核蛋白質のアミノ酸配列を模倣して、その塩基性アミノ酸をすべてリシン、酸性アミノ酸をグルタミン酸、中性アミノ酸をアラニン、芳香族アミノ酸をフェニルアラニンにした擬核蛋白質を複数合成した。それら末端にビオチンを修飾し、金コロイド修飾の抗ビオチン抗体を結合できるように設計した。 次いで、インフルエンザウイルスのゲノム配列に核酸塩基相補的なペプチド核酸を合成した。そして、水晶発振子(QCM)の金基盤表面上にペプチド核酸をジチオジプロピオン酸によって架橋して固定化した。QCMのセンサーグラムから、金基板上にペプチド核酸が固定化されたことを確認した。ここにインフルエンザウイルスをLysis bufferにて溶解させ、ウイルス由来のゲノムを基盤上のペプチド核酸と作用させ、センターグラムの変化を確認することに成功した。 そして、ペプチド核酸-ウイルスゲノム会合体に擬核蛋白質を作用させ、その会合体に擬核蛋白質が結合し、この三者会合体の質量が大きくなることにより、振動数がわずかに減少することが確認された。しかしながら、既にインフルエンザウイルスのゲノムには核蛋白質が結合している為、擬核蛋白質が競合してゲノムに結合しにくいか、結合した場合であっても分子量が小さなため顕著な振動数変化としては現れない結果となった。 そこで、前記三者会合体の擬ペプチドの結合を明確に検出するため、擬核蛋白質のペプチド末端にあるビオチンをターゲットとした金コロイド修飾型-抗ビオチン抗体を作用させる方向で実験を進めている。さらに、ニトロセルロースメンブレン上にペプチド核酸を固定化して、ゲノムを捕獲後、そのゲノムを擬核蛋白質、および金コロイド修飾型-抗ビオチン抗体を使って目視検出することを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、インフルエンザウイルスの核蛋白質の配列を模倣した擬核蛋白質ペプチドを合成した。それらを用いて、QCM基板上のウイルスゲノムの検出感度をわずかながらも向上させることができた。この検出感度をさらに金コロイド修飾型-抗ビオチン抗体により増感できれば、さらに感度が向上すると期待される。さらに、ペプチド核酸をクロマト上に固定化して、擬核蛋白質の末端にビオチンを導入することで、金コロイド修飾型-抗ビオチン抗体を作用させて、ウイルス検体を目視検出するまでの実験準備を整えることができた。以上のことから、研究は当初の計画通りおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
擬核蛋白質そのもののウイルスゲノムに結合は、QCM上でのインフルエンザウイルスゲノムの検出感度を格段に向上させるものではないが、擬ペプチド核酸に金コロイド修飾型-抗ビオチン抗体を作用させて、ウイルスゲノムの検出感度を格段に向上させることを目指す。
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Causes of Carryover |
人件費として当初140万円の使用することを予定していた。しかしながら、技術補佐の懐妊後の体調の変化により、休暇日数が多くなったために実際の人件費は大幅に減額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は技術補佐員の出勤日数を増やして、加速的に研究を進める予定である。
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Research Products
(1 results)