2015 Fiscal Year Research-status Report
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26640129
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高井 和幸 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (40260848)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | SfiNX / CCT / シャペロニン / コムギ / 組換え発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
コムギシャペロニンCCTの8つのサブユニットそれぞれをコードするcDNAの大腸菌用発現ベクターへのサブクローニングと発現テストを行った. cDNA由来の遺伝子は,マイナーtRNAを補充発現していない宿主大腸菌ではほとんど発現しなかった.θサブユニットについては,cDNAがPCR増幅しにくかったため,コドン最適化した配列を化学合成した.コドン最適化には,独自の方法を用いた.結果として,ポリペプチドとしては大量に発現した.独自のコドン最適化法についてはNucleosides, Nucleotides and Nucleic Acids誌に報告した. また,CCTサブユニット遺伝子を扱うことを念頭に昨年度から開発を続けていた,複数のORFを組み合わせて同時発現させるための発現ベクターを効率よく構築するためのシステム(SfiNXシステム)について,最小限のセットを実際に作成して,その能力を評価した.その結果をBiotechnology Letters誌に報告した. さらに,上記の結果を踏まえて,θ以外のサブユニットについても化学合成により全合成した(これについては結果として科研費以外の予算を当てた).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイナーtRNAが補充されていない大腸菌ではほぼ発現しないという結果が得られ,当初の予定ではマイナーtRNAを発現した大腸菌で実験を進めるつもりであったが,化学合成による遺伝子全合成サービスが非常に安価になり,コドン最適化した遺伝子を化学合成したうえで,それらを使って先に進むのが先々有利であるとの判断に至った.安価と言っても30万円以上かかるため,予算が確保できるか見極めてから実施した.このような計画変更を行ったため,想定の範囲内ではあるが,やや進捗が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
CCTのコムギ胚芽からの粗精製法を確立し,これを使って活性測定法を確立する(ほぼできている).そのうえで,新たに,胚芽から精製したCCTを添加した大腸菌無細胞タンパク質合成系を試みる.これは,本計画の最終目的の前段階で「様子を見る」ために行う.化学合成遺伝子を用いた発現実験については,H27年度内に最低限必要な部品が揃ったので,あとは実行するだけである.
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Causes of Carryover |
初年度に建物の耐震化工事のために十分に研究ができなかったため,多額の次年度使用額が生じた.当該年度は,この前年度未使用分を使って,遅れを取り戻すことを試みた.実際に,当該年度分の支払請求額よりも多い金額を使用した.ところが,年度末に学内経費で35万円程度の補填ができたため,その分を次年度使用に回したので,元々最終年度まで残ってもよい予定だった分と合わせて80万円程度の次年度使用分が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
CCTを大腸菌で発現させる実験の遅れを取り戻すために用いるほかに,当初計画になかった,コムギ胚芽からCCTを精製して大腸菌無細胞タンパク質合成系に添加する実験・研究のために用いる.8月ころまでに一定の成果が挙がれば,研究会での発表・情報交換のための出張旅費も支出する.
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