2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26640135
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古澤 力 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, チームリーダー (00372631)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体リズム現象 / 大腸菌 / 進化実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大腸菌の実験室進化を用いることにより、生体リズム現象を実験的に構成し、その出現メカニズムを理解することを目的とする。周期的に変動する環境条件下で大腸菌を長期に培養し、そこで高い適応度を持つ株を選択することによって、生体リズムを新規に獲得した大腸菌株を取得することを目指す。 平成27年度は、時間的に変動する環境での大腸菌の進化実験を行った。本研究グループが開発したラボオートメーションを用いた全自動進化実験システムを用いて、i) グルコースとピルビン酸の組み合わせなど炭素源を周期的に切り替える実験と、ii) 異なる作用機序を持つ抗生物質の添加を時間的に切り替える実験を行った。i)の炭素源の切り替え進化実験については、双方の炭素源で高い増殖能を持つ状態に細胞が進化し、切り替えをしない進化実験の結果と大きな差異は存在せず、またリズム的な振る舞いを見ることが出来なかった。一方で、ii) の抗生物質を時間的に変動させて添加する進化実験においては、クロラムフェニコールとアミカシンなどの特定の抗生物質の組み合わせでは、一方の抗生物質には耐性を持ち、他方へは耐性能の上昇がみられないという非対称な適応度の上昇が見られた。リズム的な振る舞いを見出すことには至っていないが、こうした複数の環境の時間的なスイッチによって進化ダイナミクスが影響を受けるというハイスループット実験系の構築に成功しており、今後の進化実験を用いたリズム研究の基盤として有用であると考えている。
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