2015 Fiscal Year Research-status Report
真菌類感染性ウイルス“マイコウイルス”を利用した「菌類ウイルス育種学」の創設
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26640141
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
白水 貴 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 特別研究員 (10571789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 裕充 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20392673)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マイコウイルス / 木材腐朽菌 / 多様性 / 機能 / ゲノム解読 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイコウイルスの未知の多様性と機能を明らかにすることを目的とし,主に木材腐朽菌から検出されたマイコウイルス由来と考えられる二本鎖RNAの精製と塩基配列の解読を行った.マイコウイルス由来と考えられる二本鎖RNAが検出された10菌株から,再度,カラム精製法にて二本鎖RNAを抽出・精製し,これを鋳型としてcDNA合成を試みた.結果,カラム精製法によって得られた二本鎖RNAの精製産物ではcDNA合成に失敗した.そこで,カラム精製法により得られた二本鎖RNAをさらにアガロースゲル電気泳動し,ゲル抽出を行うことにより二本鎖RNAの精製を試みた.その結果,4菌株に由来する二本鎖RNAの精製産物が得られ,これらを鋳型とすることでcDNA合成に成功した.合成されたcDNA産物を用い,次世代シーケンサーにて塩基配列を解読したところ,2菌株に由来する二本鎖RNAにおいて,RdRp領域の部分配列を得ることができた.今後は得られたRdRp領域の部分配列をもとにプライマー設計を行い,サンガー法にてRdRp領域の全配列を決定していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カラム精製法により得られた二本鎖RNAを鋳型としたcDNA合成に失敗し,別の精製法などを検討していたために,当初の予定よりも研究の進展に遅れが生じた.精製法の検討の結果,カラム精製法にて得られた二本鎖RNAを,さらにアガロースゲル電気泳動にかけた上でゲル抽出を行うことで,cDNA合成が可能な二本鎖RNAの精製産物が得られることが分かった.
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Strategy for Future Research Activity |
RdRp領域の部分配列が得られている2菌株由来の二本鎖RNAを対象に,これらのRdRp領域の全配列を決定する.得られている部分配列をもとにプライマーを設計し,PCRとサンガー法によって配列解読を行う.得られた配列情報を用いて系統推定を行い,検出されたマイコウイルスの系統的位置づけを推定する.
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Causes of Carryover |
二本鎖RNAの精製とcDNA合成が当初の計画通り進まず,予定されていた実験を行えなかったため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
二本鎖RNAの精製とcDNA合成,塩基配列決定に必要な試薬の購入や機器の使用料に充てる.
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