2015 Fiscal Year Annual Research Report
i-RNA切断酵素によるイノシン化RNAの分子制御機構の解析
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26650006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉岡 功 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60335396)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 核酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
RNAのイノシン化は、基本的にはRNA上の遺伝情報を塩基置換により機能を編集する機能(RNA編集)であり、ヒトにおいてはこの機能がタンパク質の多様化に重要であることが示唆されている。その一方、RNAのイノシン化は、本来の遺伝情報の編集以外に、外界からのRNAすなわちウイルスRNAの排除機構に使われていることも報告されている。これらの機構はまだ解明されていない点が多いが、これらに加えて精神神経および癌などの疾患にも関与する生物学的に重要な機能であることが考えられている。 応募者は、このRNA編集により生じたイノシンを有するRNA(i-RNA)を特異的に切断するタンパク質i-RNA切断酵素(ヒトエンドヌクレアーゼV)を発見した。現在のところこの酵素の生物学的意義については、不明なところを多い。この酵素の細胞における生体内での機能を明らかにし、i-RNA切断酵素によるイノシン化RNAの分子制御機構を解明することがこの研究の目的である。 我々は、i-RNA切断酵素がどのようなRNA分子を切断するか様々なRNA分子を作製してその切断活性を解析した。その結果、この酵素はイノシンを含むRNAを特異的に切断し、その他(塩基脱落部位、アルキル化、キサンチン)などを含むRNAを切断することができなかった。加えて切断する5'側のOH基が活性に重要であることがわかった。これに加えてイノシン化部位のシークエンスコンテキストに特異性があることが明らかになった。一般にRNA編集を担う酵素が編集する部位とは異なるため、このi-RNA切断酵素は編集機能よりむしろRNA修復に機能していることが示唆された。
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Research Products
(13 results)