2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26650007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
篠原 彰 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (00252578)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 減数分裂 / アクチン繊維 / 核 / 細胞骨格 / 核骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞骨格の1つであるアクチン繊維は細胞の形態、運動に関わっている。通常、アクチン繊維は細胞質に存在し機能することが知られている。本研究は減数分裂期の酵母細胞内で、新たに同定できた“核内”アクチン繊維の機能とその形成のメカニズムを解明することを目的とする。また、本研究は、核内アクチン繊維による、減数分裂期のDNA交換反応の仕組みの制御の分子機構を明らかにすることを大きな目的とする。特に,減数分裂期で起きる染色体の再配置の中で,染色体の核膜との結合,小胞体、さらには細胞骨格を介した染色体運動と組換えの連関を明らかにすることで、染色体上で起きるDNAの生化学反応が“動かす”という物理的な力によって、核内の染色体上の生化学反応が制御を受けていることを明らかにすることを目標にする。これまでの研究で、核内のアクチン繊維が減数分裂期の染色体運動や相同染色体のペアリングが見られる時期と一致することが判明してきた。さらに、微細な“核内”アクチン繊維の実体,核内での配置(構造)を明らかにする上で、酵母減数分裂期細胞の凍結切片の電子顕微鏡による微細構造解析を行っている(総合画像支援機構の大隅正子博士との共同研究)。その結果、核内のアクチン繊維に関する構造的知見が蓄積して来ている。核内のアクチン繊維は細胞質の繊維構造と形の上では大差がない。核内での繊維の再構成モデルを作成したところ、繊維の末端が核膜まで到達していることが分かり,核膜にアクチン繊維形成の鍵分子があると考えている。さらに、免疫電顕により、繊維状の構造がアクチンから構成されることも確認した。現在は生きた細胞にLifeACT(アクチン繊維を標識する蛍光マーカータンパク質)を導入して、減数分裂期でのアクチン繊維の核内で動態を解析することと、核内特異的にアクチン繊維形成を阻害する系を開発することで、その機能を明らかにすることを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、本研究に参画し、研究の実施に中心的な役割を果たす予定だった助教が平成26年初頭で退職してため、それを補填する人材を再度国際公募で募集して雇用を計画している。そのため当初の予定であった平成26年1年間の単年度計画を、平成27年度への延長を申請して、その延長が認められた。助教雇用後は順調に研究が進展することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、遅れを取り戻すために、細胞内での核内アクチン繊維の観察と、核内アクチンを特異的に阻害する系を確立することで、核内アクチン繊維の細胞内での機能を明らかにすることを計画している。生きた細胞にLifeACT(アクチン繊維を標識する蛍光マーカータンパク質)を導入して、減数分裂期でのアクチン繊維の核内で動態を解析することと、核内特異的にアクチン繊維形成を阻害する系を開発することで、その機能を明らかにすることを目指している。特に、減数分裂期組換えや染色体動態への影響を解析することを計画している。染色体の動態は減数分裂期特異的染色体構成要素Zip1、核膜の動態は核膜タンパク質であるMps3にそれぞれGFP融合タンパク質として発現している細胞を用いる。また、減数分裂期組換えに関しては、減数分裂期組換えのホットスポットにおけるDNAの変化をSouthrn法などで解析することで、その中間体、最終産物への影響を調べる。さらに、組換えや染色体形成に関わるタンパク質のダイナミックスを蛍光顕微鏡などで解析する。このような総合的手法により、核内のアクチン繊維の形成の仕組みとその生物学的な意義を明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
当初、本研究に参画し、研究の実施に中心的な役割を果たす予定だった助教が平成26年初頭で退職してため,それを補填する人材を再度募集して雇用を計画している。そのため当初の予定であった平成26年1年間の単年度計画を、平成27年度への延長を申請して、その延長が認められた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
経費は酵母培養のための培地、ガラス器具、抗体染色のための抗体などの消耗品にかかる物品費と、電子顕微鏡解析の受託研究に使用する予定。
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Research Products
(9 results)