2014 Fiscal Year Research-status Report
大腸菌リボソーム駆動部構成蛋白質のカセット交換による真核型合成速度の実現
Project/Area Number |
26650013
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
姚 閔 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 教授 (40311518)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | X線結晶解析 / ストーク複合体 / リボソーム / 発現系 / タンパク質工学 / 翻訳速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
リボソームの高分解能での構造解析が完成しつつある現在,その詳細な分子構造情報をもとに,次世代型タンパク質生産系の開発に向けた展開が期待される.申請者らはリボソーム駆動部となる機能部位(GTPaseセンター)の主要成分であるストーク複合体の構造解析に成功し,それを構成するタンパク質が,バクテリア型と真核型の間で,カセットのように交換できることを示した. 本研究では,構造解析情報に基づいて,大腸菌のストークタンパク質の一部を真核型に変換したストーク複合体を用いて,真核型伸長因子EF2を運搬・利用するタンパク質合成システムを作製する.これにより,大腸菌の安定したリボソームを使いながらも,真核型タンパク質のフォールド速度に対応した減速型(真核型)発現系を実現し,ヒトなどの真核生物タンパク質の可溶化発現に供する.この目的を達成するために,平成26年度中に,まず,大腸菌由来のストーク複合体の背骨タンパク質L10と既に構造が得られたThermotoga maritima由来L10の配列をアラインメントした.その情報に基づいて,バクテリアと真核生物のキメラストーク複合体を形成できるように,大腸菌由来のストーク複合体の背骨タンパク質L10変異体の4種類を設計した.そして,それらの変異体の大量調製を試みたが,大腸菌由来のL10変異体が不溶化となり,時間がかかった.様々な発現条件を検討した結果,L10変異体のin vitroでの大量調製の可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,構造解析情報に基づいて,大腸菌の背骨タンパク質L10に真核型P1が結合するように結合部位の改変を行い,大腸菌を使いながらも,真核型タンパク質のフォールド速度に適合した速度で合成されるタンパク質合成系を構築することを目指している. 平成26年度では,構造解析情報,および配列アラインメント結果に基づいて,大腸菌由来のストーク複合体の背骨タンパク質L10に真核型P1が結合できるような,L10の変異体を設計し,大量調製を試みた.結合部位の改変を行ったので,着実に研究を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りに,平成26年度に引き続き,
1.in vitro実験でキメラストーク複合体を作製する. 2.発現用の大腸菌変異株の作製を試みる.
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Causes of Carryover |
平成26年度に,試薬や実験器具類の購入について検討し節約に努めた結果,110万円の使用残高が生じたが,これを平成27年度に実施予定である3種類のキメラストーク作製のための消耗品購入や,大型放射光施設での回折データ収集の旅費に充てる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の研究費260万円のうち,一般試薬および結晶化用試薬類,タンパク質精製用カラムなどの消耗品費に106万円,大型放射光施設での回折データ収集や学会参加等の旅費として60万円,実験補助謝金として40万円,その他,学会参加費や英文校正料として54万円を計上する.
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Research Products
(4 results)