2015 Fiscal Year Annual Research Report
環境に応じて酵素活性・アプター活性がスイッチングする自律的な機能性核酸の創製
Project/Area Number |
26650014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片平 正人 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (70211844)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | RNAアプタマー / Tatタンパク質 / In cell NMR / 立体構造 / カリウムイオン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はHIVのTatタンパク質を高い親和性で捕捉するRNAアプタマーを見出し、その構造機能相関に関する研究を行ってきた。構造解析の結果、このRNAは二つのサブユニットに分割できる事が分かった。そこで今回、GGAGGAGGAGGAという配列からなるRNA(以下R12)の両端に、この二つのサブユニットを連結した分子を創製した。低いカリウムイオン濃度においては、R12は伸びた構造をとる為、RNAアプタマーの二つのサブユニットは離れ離れとなり、Tat捕捉活性は発揮されなかった。一方生理的なカリウムイオン濃度においては、R12は4重鎖構造を形成してコンパクトになり、この結果RNAアプタマーの二つのサブユニットは近接して活性構造が再構築され、Tat捕捉活性を発揮するようになる事が確認できた。即ちアプタマー活性が、カリウムイオンによってオフからオンにスイッチングされる分子を創製する事に成功した。 上記のシステムの細胞への将来の応用を考え、核酸をヒト細胞に導入し、核酸由来のNMRシグナルを直接観測する事を試みた。その結果、ヒト細胞中の核酸のシグナルを観測する事に今回世界で初めて成功した。得られたNMRシグナルを解析した結果、核酸の種類によっては、細胞中と試験管中とで異なる構造を形成する事が示唆された。また細胞内環境を模すのにPEGがよく用いられるが、NMRシグナルの解析から、PEGを加えただけでは、細胞内の環境を十分には再現できない事も分かった。
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