2014 Fiscal Year Research-status Report
真核生物の基本的仕組みを解明するための新しい細胞場構造技術の開発
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26650016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩根 敦子 大阪大学, 生命機能研究科, 招へい教授 (30252638)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 細胞分裂 / 3次元立体構造 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞や組織内の微細構造解析は化学固定-染色により作製した超薄切片をTEM観察する事で進められてきたが、近年、金属やセラミックの表面加工に寄与しているFIB-SEMを生物試料で汎用性ある超微細構造解析に応用するための新たな技術開発を行う。代表的な細胞小器官が一つずつ存在し、真核生物として最小限度のシンプルな構造を有する“シゾン”をモデル生物として選び、細胞分裂過程にリンクした細胞小器官や標的分子とそれを取り囲む環境の超微細構造変化を細胞丸ごとレベルで解明し、構造モデルを作成する。 平成26年度は 先ず、シゾンの細胞分裂の母集団を保てるように光の明暗並びに二酸化炭素の培養液への添加の有無を調整する事で同調培養系の確立に挑戦し、8割以上の細胞の同調化に成功した。培養系の開発は予想以上に進み、十分な結果を得た。次にシゾンの組換え体発現系は細胞からゲノムDNAを抽出し、ミトコンドリア、色素体を中心にオルガネラを構成する標的分子の遺伝子(8種)を適切なDNAオリゴを用いてPCR増幅して得、その塩基配列をDNA BANKの登録情報と照らし合わせて確認した。立教大学の黒岩先生より譲与頂いた一過性発現系並びにウラシル要求性遺伝子を選択マーカーとする相同性発現のためのゲノムターゲットベクターに先の標的遺伝子を導入し、発現を試みた。GFPによる蛍光や定量性PCRを用いたmRNAの確認、そしてイムノブロティングにより発現の確認をおこなった。尚、FIB-SEMによる計測法の条件検討は試料作製の開発とともにフィードバックをかけながらおおむねほぼ計画通りに進んだと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電顕試料として母集団を保てる同調培養系の確立は予想以上に順調に進んだと思う。またオルガネラを構成する標的分子の発現系はPEGを用いた一過性発現並びにコーンスターチ上でコロニーを作らせてクローニングすると言う少し特殊な手法でのステーブルな組換え体発現系であるにもかかわらず、試行錯誤を繰り返し、発現系の確立に少し時間がかかったが、想定の範囲であったと考える。電子顕微鏡での観察ではFIB-SEMに加え、3ViewのSEMを試みる予定であったが、共同利用予定の3View顕微鏡が昨年交付申請書を提出した直後の春先に故障し、約一年間使えない状態になったため、久留米大学のFIB-SEMだけでの電子顕微鏡計測を行ってきた。電顕での計測結果と生物試料の作製、具体的は、適切な情報を引き出すための細胞の固定方法、染色方法などの検討と常にフィードバックを掛けながら研究を進め、高解像度な連続切片像得るための系もほぼ立ち上がったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
FIB-SEMから得られた連続切片を用いて生命の基本である均一に確実に娘細胞に分裂する細胞分裂過程にリンクした細胞小器官や標的分子とそれを取り囲む環境の超微細構造変化を細胞の一部の断片の情報にとどまらず、細胞丸ごとレベルで解明し、構造モデルを作成する系の開発を行い、生存に必須である均一に確実に娘細胞に分裂する細胞小器官の振る舞いを解明する事がこの課題の目的で有り、目標である。そのためには細胞培養系、試料作製系、電子顕微鏡観察系のそれぞれの開発が望まれ、ほぼ順調に進んでいると思うので平成27度は細胞周期とリンクしたオルガネラの可視化、形の変化、オルガネラ間の相互作用を明らかにし、構造モデルを作成する予定である。
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Causes of Carryover |
旅費として計上していた予算が3viewの装置故障のため使用されなかったので旅費の予算は新たに必要になった物品費に回したが残金が一部生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度繰越金として441円は物品費に加えたい。
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Research Products
(5 results)