2015 Fiscal Year Research-status Report
真核生物の基本的仕組みを解明するための新しい細胞場構造技術の開発
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26650016
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩根 敦子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, ユニットリーダー (30252638)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 超微細構造解析 / FIB-SEM / 3次元再構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞や組織内の微細構造解析は化学固定-染色により作製した超薄切片をTEM観察する事で進められてきたが、近年、金属やセラミックの表面加工に寄与しているFIB-SEMを生物試料で汎用性ある超微細構造解析に応用するための新たな技術開発を行う。代表的な細胞小器官が一つずつ存在し、真核生物として最小限度のシンプルな構造を有する“シゾン”をモデル生物として選び、細胞分裂過程にリンクした細胞小器官や標的分子とそれを取り囲む環境の超微細構造変化を細胞丸ごとレベルで解明し、構造モデルを作成する。 平成27年度は シゾンの細胞分裂の母集団を保つように光の明暗並びにCO2の培養液への添加を調整する事でほぼ同調培養系は確立できた。さらに、光の明暗周期をアレンジし、特殊な基盤存在下でのシゾンの培養から今まで困難であった分裂周期に伴う、細胞の形や当該時期に相当するタイミング等を動的に光顕観察できる系も立ち上がった。培養系ならびに観察系の開発は予想以上に進み、十分な結果を得た。次に、前年度までに一過性発現系に成功している主要オルガネラ構成蛋白の遺伝子をさらにウラシル要求性遺伝子を選択マーカーとする相同性発現のためのゲノム標的ベクターに導入、発現を試みた。特異的標的分子の確認がGFPによる蛍光や定量性PCRを用いたmRNAの確認、そしてイムノブロティングによる発現の確認が得られたが、時系列変化に伴い、リバータントの存在も確認されたため、より安定な相同性組換え体を得るために、東京工業大学の田中先生より譲与頂いたURA5.3 欠損シゾン宿主株を用いて早急に系を立ち上げ直しているところである。尚、残念ながら、FIB-SEMによる計測法の条件検討は当初予定になかった研究室の引越しと建物の不具合、さらに、電子顕微鏡の不慮の故障が判明したため、目的の微細構造観察を行うことが困難となり、研究計画を延長する必要が生じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FIB-SEMから得られた連続切片を用いて生命の基本である均一に確実に娘細胞に分裂する細胞分裂過程にリンクした細胞小器官や標的分子とそれを取り囲む環境の超微細構造変化を細胞の一部の断片の情報にとどまらず、細胞丸ごとレベルで解明し、構造モデルを作成する系の開発を行い、生存に必須である均一に確実に娘細胞に分裂する細胞小器官の振る舞いを解明する事がこの課題の目的で有り、目標である。そのための細胞培養系、試料作製系に関してはほぼ順調に進むと思うが、電子顕微鏡観察系の開発は顕微鏡の不慮の故障が判明したため、目的の微細構造観察を行うことが多少困難となり、その点については多少遅れている。オルガネラの可視化、形の変化、オルガネラ間の相互作用もだいぶ解明されてしてきたと感じでいるが、さらにNを増やす必要を感じ、早急に顕微鏡観察ならびに3次元画像解析を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
収束イオンビームによる切削のFIB-SEMから得られた連続二次元画像を用いて生命の基本である均一に確実に娘細胞に分裂する細胞分裂過程にリンクした細胞小器官や標的分子とそれを取り囲む環境の超微細構造変化を細胞の一部の断片の情報にとどまらず、細胞丸ごとレベルで解明し、構造モデルを作成する系の開発を行い、生存に必須である均一に確実に娘細胞に分裂する細胞小器官の振る舞いを解明する事がこの課題の目的で有り、目標である。そのためには細胞培養系、試料作製系、電子顕微鏡観察系のそれぞれの開発が望まれる。少し出遅れている電子顕微鏡観察においてはモデルの母体数を増やすためにもFIB-SEMだけにとどまらず、ダイアモンドナイフ切削とSEM(Serial Block face-SEM:SBF-SEM)観察からも連続二次元画像を得、苦手とされる分子の同定をも可能とするタグはminiSOG, APEXに留まらず、熱安定性が期待できる別の組換え体の開発を早急に進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年1月末、当初予定になかった研究室の引っ越しを行うこととなり、さらに、建物の不具合等も重なり、実験室の立ち上げが平成27年9月下旬までかかった。さらに平成27年10月、11月に細胞内オルガネラをクライオ観察するための主要な装置の一つである電子顕微鏡の不慮の故障が判明した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
目的の構造解析を行うことができず最終的に研究計画を半年間延長する必要が生じた。
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Research Products
(8 results)