2014 Fiscal Year Research-status Report
温度感受性モノクローナル抗体を利用した新しいタンパク質精製・制御系の確立
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26650024
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岡野 俊行 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40272471)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | サーモジェネティクス / 一本鎖抗体 / モノクローナル抗体 / タンパク質相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らはこれまでに、光受容分子を抗原として作製したモノクローナル抗体の中から偶然に、温度上昇によって抗原との結合力が大きく変化するクローン(C13-mAb)を発見したことに基づく。本研究では、この抗原-抗体間の親和性の温度依存性を利用し、温度変化によりタンパク質の相互作用を制御するサーモジェネティクス系を実現することを目指し、(1)C13抗体のエピトープを融合したモデルタンパク質の温度変化による精製系の確立、ならびに(2)抗体の一次構造の決定および一本鎖抗体(scFv)の作製を試みた。 上記の2項目について研究を進め、それぞれ以下の結果を得た。 (1)C13抗体のエピトープを1~3コピー繰り返しで含むようなグルタチオンセファロースに結合した融合タンパク質を作製した。それぞれのタンパク質とC13-mAbの結合を調べたところ、すべての融合タンパク質において温度依存的な結合が見られ、コピー数の増大に従い結合が増強された。また、エピトープは、N末端側、C末端側いずれに融合した場合でも同様の結果が得られた。さらに、抗体固定化ゲルを用い、これらのタンパク質を温度依存的に精製することにも成功した。以上の結果から、C13-mAbエピトープは、タンパク質の任意の部位に結合して使用することができ、コピー数により結合力を調節できることが分かった。 (2)C13-mAbを産生するハイブリドーマよりcDNAを調整し、PCRにより抗体の可変領域をコードする遺伝子配列を単離、アミノ酸配列を決定した。さらに、これをスペーサ配列と連結してscFvを発現するプラスミドを構築した。大腸菌におけるscFvの発現は確認できたため、現在、精製条件を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では2つの研究項目(1)C13抗体のエピトープを融合したモデルタンパク質の温度変化による精製系の確立、ならびに(2)抗体の一次構造の決定および一本鎖抗体(scFv)の作製を設定している。項目(1)については、作製した全てのモデル融合タンパク質において、期待される温度依存的解離会合が検出され、同時に、温度依存的なタンパク質精製に成功している。今後は、さらにGFP等他のタンパク質との融合タンパク質を用いた解析をすすめる必要があるが、原理的に実現できる可能性は極めて高く、応用にむけた障壁はすでに乗り越えられたと言ってよい。また、項目(2)についても、一般にモノクローナル抗体はハイブリドーマ株の不安定さを考えると、scFvを用いた遺伝子による系の確立が極めて重要である。すでに、scFvを立体構造を保った状態で発現精製することにも成功しており、次年度の課題にむけての障壁もすでに乗り越えられつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、順調に計画どおり進んでいるため、当初の予定どおり研究を継続する。また、当初の研究計画に含まれない、動物個体を用いたサーモジェネティクス等への応用研究の道筋も開けて来たため、そのような発展も視野にいれながら基礎的な知見を蓄積してゆく。
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