2014 Fiscal Year Research-status Report
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26650039
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
横山 謙 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (70271377)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ATPase / プロトンポンプ / 回転 / 分子モーター |
Outline of Annual Research Achievements |
VoV1 は、ATPを分解して得られる回転力を使ってプロトンを輸送するプロトンポンプである。本研究課題では、一分子の VoV1 によるプロトン輸送を可視化することにより、一回転当たりに輸送されるプロトン数を明らかにする。実験系の概要は以下の通りである。極微小体積のチャンバー上に脂質二重膜を張り、そこに一分子の VoV1 を再構成させ、ATP存在下でのプロトン輸送を計測する。プロトン輸送は、チャンバー内に閉じ込めた pH 指示薬の蛍光強度を測定することにより見積もる。 継続的なプロトン輸送活性が計測に必要であるが、野生型の VoV1 は ADP 阻害という現象により、プロトン輸送活性が数分以内に消失する。この ADP 阻害に陥るのを阻害するため、腸球菌の触媒ドメインを導入した。作成したキメラ型 VoV1 のプロトン輸送活性を、リポソームを使った多分子系で測定した。その結果、このキメラ VoV1 が、ADP阻害に陥ることなくプロトン輸送活性を長時間にわたって示すことがわかった。以後の実験にこのVoV1 を用いた。最初の実験として、渡辺らが行ったマイクロチャンバーを使った測定系により、この VoV1 のプロトン輸送活性を測定した。マイクロチャンバー上に脂質二重膜を形成させた。次にVoV1 を含むリポソームを脂質二重膜上に添加する。膜融合により VoV1 がマイクロチャンバー上の膜に再構成される。この時、1チャンバーあたり1分子の VoV1 が載るように VoV1 の濃度を調節する。ATP溶液を加えたところ、予めチャンバー内にいれておいた pH 指示薬の蛍光変化を測定することができた。プロトン輸送活性が測定できた。この活性が1分子の VoV1 によるものかを検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チャンバー上に貼った脂質二重膜上に VoV1 を再構成し、ATP駆動によるプロトン輸送活性を測定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在観察できているプロトン輸送活性が1分子 VoV1 によるものかを検定する。また、マイクロチャンバーでは体積が十分小さいとはいえず、見かけのプロトン輸送活性も低い。連携研究者の横川がもつナノ開口 ( 200 nm直径)されたチャンバーを用いた計測を試みる。体積がより小さいため、測定感度の改善が期待できる。並行して、ナノアイランドを用いた回転、輸送同時観察系の構築も試みる。チャンバー上にピラーを立て、その上に VoV1 のローターを固定し、固定子に観察ビーズを結合させる。回転を観察しながら、チャンバー内のPH 変化を同時に観察する。
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Research Products
(3 results)