2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26650040
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
原田 陽一郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任准教授 (80464147)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小胞体 / アスパラギン結合型糖鎖 / 遊離糖鎖 / 代謝 / 輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究目的)出芽酵母には、(1)細胞質でPNG1が糖タンパク質から遊離糖鎖が生成される経路と、(2)小胞体内腔でオリゴ糖転移酵素がドリコールオリゴ糖を分解して遊離糖鎖を生成する2つの経路が存在する。我々の研究から、小胞体内腔で生成した遊離糖鎖は、何らかの機構によって細胞質に輸送され、細胞質/液胞マンノシダーゼの作用によって代謝されることがわかっていたが、トランスポートに関する分子メカニズムは不明であった。本研究は、小胞体に存在する遊離糖鎖トランスポーターを同定することを目的とする。 (方法および結果)出芽酵母の非必須遺伝子破壊株コレクションの中から、小胞体に局在する(または局在し得る)タンパク質をコードする遺伝子の破壊株、約400株を用い、PNG1との二重破壊株を作成後、遊離糖鎖を定量することによって遊離糖鎖トランスポーターの候補遺伝子をスクリーニングした。PNG1との二重破壊株の作成が可能であった約300株の二重破壊株について遊離糖鎖の定量解析を行ったところ、hrd1との二重破壊株で遊離糖鎖の量が2倍に増加することを発見した。糖鎖構造解析の結果、hrd1deltaおよびpng1deltaの単独破壊株間で変化がないことがわかった。 (考察)本研究では、小胞体に関連する出芽酵母の非必須遺伝子のうち、Hrd1が小胞体内腔で生成した遊離糖鎖の代謝に関与することを発見した。このことから、Hrd1が遊離糖鎖トランスポーターである可能性が考えられた。また、hrd1破壊株において、遊離糖鎖の構造に変化が見られなかったことから、この変異株において、遊離糖鎖は細胞質/液胞マンノシダーゼによる代謝を受けることがわかった。今後、hrd1破壊株において、遊離糖鎖の細胞内局在性を明らかにするとともに、in vitroにおけるHrd1の遊離糖鎖トランスポーター活性を、再構成系を用いて検証する予定である。
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