2014 Fiscal Year Research-status Report
次世代色素を用いた光第二高調波イメージングによる生体現象の可視化
Project/Area Number |
26650052
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
塗谷 睦生 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60453544)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光第二高調波発生 / 2光子顕微鏡 / SHG / イメージング / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
光第二高調波イメージング(SHGイメージング)は生物学で一般に用いられている蛍光イメージングとは全く異なる情報を観測者に与える非常に強力な観測技術である。しかし、現在でも専用の色素が存在せず、その長所が活かされないまま発展が滞っている。本研究では研究代表者らがこれまで独自に開発準備を進めてきた次世代SHG専用色素、「無蛍光性SHG色素」の開発と生物学への初めての応用を試みる。 研究初年度にはこれまでに開発してきた新規SHG専用色素の解析を進めた。比較対象としてはこれまでに我々を含めて一般にSHGイメージングに用いられてきたFM4-64色素を用いた。均一性の高い培養細胞(CHO Cell)に細胞外から色素を投与する事により、色素のSHG性を客観的に評価した。ここから、新規SHG専用色素が実際に蛍光を全く発さずにSHG性を持つものである事が示された。この性質を活かし、他の蛍光色素との同時染色によるSHGと蛍光シグナルの同時観測を試みた。その結果、従来用いられてきたFM4-64が既に導入されている蛍光色素のシグナルを大きくゆがめてしまうのに対し、新規SHG専用色素は蛍光像を変える事無く、他の蛍光色素とSHGシグナルを同時に取得できる事が明らかとなった。 この色素の開発と並行して、SHG計測の対象として、脳機能への重要性が認識されながらその生理学的基盤の解明が遅れているアストロサイトの制御に関する解析を進めた。その結果、既に細胞内コンパートメントとして特殊な空間である事を明らかにしたアストロサイト足突起がてんかんの条件下において独自の変化をし、それが病態形成に重要な役割を果たす事が示唆された。これは同時に足突起の生理学的性質が疾患条件下において変化する事を示したものであり、SHGイメージングの応用により、その電気的な変化の観測が非常に有効となるであろうことを示唆するものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通り研究を遂行する事ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに解析を進めてきた新規SHG専用色素の更なる解析を行い、更に生理学研究への応用として、アストロサイトの電位情報伝達機構の解明へと応用する。 色素の解析では主に蛍光イメージングとの併用に着目し、蛍光とSHGという異なる光学現象により異なる情報を同時に取得する事を試みる。解析にはこれまで同様主にCHO細胞を用い、カルシウム濃度感受性色素など種々の細胞内レポーター蛍光色素と新規SHG専用色素を同時に導入し、それらのシグナル変化を同時に解析する。次にこの応用として、アストロサイトの生理学的研究を行う。マウス大脳皮質より調製する急性脳スライスを用い、アストロサイトに同様に蛍光色素とSHG色素を導入し、それらの同時計測を行う。この上でアストロサイトを電気・化学的に刺激し、それに応じたアストロサイトの変化を、特に足突起に着目して解析する。
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Causes of Carryover |
論文の発表が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文発表関連費に使用の予定。
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