2015 Fiscal Year Annual Research Report
微小管とアクチンフィラメントの細胞内相互作用を再現する新規無細胞系の確立
Project/Area Number |
26650058
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大隅 圭太 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20221822)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 無細胞系 / 細胞骨格 / アクチンフィラメント / 微小管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、細胞周期の進行とそれに伴う核の変化を再現でき、アクチンフィラメントの細胞内動態をも再現できる無細胞系が確立された。これを用いて、ネイティブ卵抽出液で形成される核にはF-アクチンがよく発達することが見いだされた。さらに、核におけるF-アクチンの発達は、卵抽出液だけでなく、胞胚期の核でも確認され、嚢胚期にはほとんど見られなくなることが見いだされた。胞胚期には転写活性が低いことを考え合わせると、この発見は核の機能制御との関連性を示唆し、核アクチンの機能的役割について重要な検討課題を提出するものといえる。また、本研究の成果から、分裂期における微小管とアクチンフィラメントの相互作用の可能性が強く示唆され、紡錘体形成や染色体凝縮に対するF-アクチンの関与が示唆された。従来の卵抽出液ではアプローチできなかった、こうした現象の解析に道を開いた点でネイティブ卵抽出液は有用な実験系といえ、評価できる本研究の成果である。さらに本研究では、微小管とアクチンフィラメントの相互作用を生化学的に解析するために、卵抽出液のF-アクチンとG-アクチンを遠心分離する方法の検討を行なったが、低速遠心による細胞質画分にはリボソームなどのオルガネラおよび膜成分が多量に含まれており、F-アクチンと共にそれらが沈殿するため、F-アクチンの結合成分を解析できず、微小管と相互作用するF-アクチン結合蛋白質の解析に進むことができなかった。そこで、リボソームや膜成分を選択的に沈殿させて除く条件を検討し、アクチン動態の再現性を保持しながら、多量の沈殿成分を除去した卵抽出液を調製したが、この卵抽出液を用いても多量のチューブリンタンパク質が抱き込みにより沈殿し、アクチンフィラメントと微小管の相互作用の解析には至らなかった。
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