2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞内共生細菌から探るミトコンドリアタンパク質輸送制御系の進化的形成解明
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26650061
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
北田 栄 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (20284482)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 共生細菌 / ウォルバキア(ボルバキア) / ミトコンドリア / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ミトコンドリアタンパク質輸送制御因子の1つであるミトコンドリアプロセシングペプチダーゼ(MPP)のホモログ分子をウォルバキアから発見することで、この輸送制御関連分子の進化的な解明を目的としている。まず、出芽酵母のMPPのアミノ酸配列とゲノム解析が完了した7種のウォルバキアタンパク質を用いてBLAST解析を行なった。その後、FASTA解析を行ない、MPPサブユニットの1つであるβMPPの活性部位モチーフがウォルバキアのタンパク質にも存在するか確認した。また、ミトコンドリアとウォルバキアが進化的に近い関係なのかを確認するために、出芽酵母、ヒトのMPPとウォルバキアのMPP類似タンパク質、その他の細菌でのMPP類似タンパク質をClustalWで相同性解析し分子系統樹を作成した。その結果、7種類のウォルバキアタンパク質がβMPPの活性部位と類似したアミノ酸配列を持っており、別の相同性が低い7種類のウォルバキアタンパク質でもβMPPの活性部位モチーフを持っていた。また系統樹解析より、酵母とヒトのMPPはウォルバキアのMPP類似タンパク質と近いことが確認された。7種類のウォルバキアタンパク質はβMPPと同じ機能を持っている可能性があると考える。このことからウォルバキアにはMPPに類似したタンパク質を持っているということが言える。また、系統樹より、ヒトと酵母のβMPPはウォルバキアと近縁な関係にあることが分かった。また、MPPのサブユニットであるαMPPとβMPPが早い段階で枝分かれしていることから、それぞれが独立して進化していったのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的としたミトコンドリアとウォルバキア遺伝子の進化的比較解析の一部が遂行できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ミトコンドリア輸送関連に関わる因子のなかで、これまでのMPPに加え、TimやTom因子のウォルバキアホモログの進化的解析と実験的な機能の相補性解析をすすめる。
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