2014 Fiscal Year Research-status Report
高速3次元一分子イメージングによる細胞質内タンパク質動態の直接観察
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26650069
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡田 康志 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, チームリーダー (50272430)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 一分子計測 / 拡散係数 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
一分子イメージングは1990年代末に、我が国で開発された技術である。申請者は、キネシン型分子モーターの運動機構の研究を通じて、独自に蛍光一分子イメージングのための顕微鏡システムを開発し、キネシンの運動の一分子計測を行ってきた。その後、細胞内での蛍光一分子イメージングは、細胞膜上でのシグナル伝達の現場を直接観察することが出来る方法論として発展してきた。しかし、その対象は、細胞膜に結合して2次元的に拡散するシグナル分子や、細胞骨格などに結合して1次元的に運動するモーター分子などに限られ、細胞質内を自由拡散する分子の動態計測には、消退後蛍光回復法(FRAP)や蛍光分子相関分光法(FCS)などの方法が用いられてきた。 申請者らは、蛍光一分子イメージングを発展させた超解像顕微鏡法(蛍光分子局在化法)のライブイメージングへの応用を目指した開発の過程で、ミリ秒程度の高速イメージングを行うと細胞質内を自由拡散する蛍光一分子が点像として検出できることに気付いた。FCSなどによる細胞質でのタンパク質の拡散係数が1~30μm2/s程度であり、1 msの間に拡散で移動する距離は30~100 nm程度と回折限界以下であることを考えると当然の結果であるが、このことはミリ秒程度の高速蛍光一分子イメージングを行うことで細胞質中を自由拡散するタンパク質一分子の動態計測が可能であることを意味する。 そこで、本申請では、ミリ秒程度の高速一分子イメージングにより細胞質内を自由拡散するタンパク質一分子の3次元動態計測の実現を目指した開発を行う。開発にあたっては、具体的な生物学的課題として、シグナル伝達分子ERK、分子モーターのkinesin、細胞骨格タンパクであるtubulinを対象とすることで、実際の細胞生物学的課題に適用可能な観察方法の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロトタイプ装置による予備的な計測に成功し、装置の改良に着手できている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに作成したプロトタイプ装置を用いた細胞内計測と、FCS, RICSなどの結果との定量的な比較を通じて、方法論の成熟を目指すと共に装置の改良を進める。
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Causes of Carryover |
価格改定などにより若干の端数が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額なので特に計画に変更はない。
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