2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞数によって細胞集団の振る舞いが異なる現象を数理モデルと実験から理解する
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26650074
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山崎 正和 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40373378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 正和 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (10583908)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発生・分化 / 細胞・組織 / 遺伝学 / 平面内細胞極性 / PCP |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮組織には、細胞の頂端-基底軸と直交する、特定の軸に沿った極性が存在する。これは、平面内細胞極性(planar cell polarity, PCP)と呼ばれ、様々な組織・器官において観察される現象である。PCPの形成には、7回膜貫通型受容体Frizzled(Fz)や4回膜貫通型分子Strabismus/Van gogh(Stbm)、7回膜貫通型カドヘリンFlamingo/Starry night(Fmi)などから構成されるコアグループ分子が個々の細胞において偏在化することが重要である。ショウジョウバエ翅の場合、Fzは個々の細胞の遠位側に、Stbmは反対の近位側に、Fmiは遠位側と近位側の両端に局在する。Fzを含む遠位側複合体とStbmを含む近位側複合体は同じ細胞内では互いに反発するのに対し、細胞間においては親和性を示す性質があり、これら二つの作用により上述の非対称性が形成される。 これまでに我々は、北海道大学の秋山正和博士との共同研究により独自のPCP数理モデルを構築している。この数理モデルを用いたシミュレーションによりSpleの過剰発現によるPCPの向き(翅毛の配向性)の逆転が細胞の数に依存することを見出し、この現象が実際のショウジョウバエ翅においても起きることを確認している。この数理モデルは現象論的視点から構築されており(個々の細胞における極性の向きを一つのパラメーターで表現)、コアグループ分子間の細胞内反発作用および細胞間相互作用を含んでいない。実際の実験で得た結果を数理モデルに直接反映させるために、我々はコアグループ分子の挙動を考慮した改良版の数理モデルを構築し、この新たな数理モデルを用いたシミュレーションを行った。その結果、上述のSple過剰発現の細胞依存性の結果のみならず種々のPCP表現型を再現できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PCP分子の挙動を考慮した新たな数理モデルを構築でき、ほぼ予定していた通りに研究が進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
実験とシミュレーションの相互検証を繰り返すことにより、Sple過剰発現クローンの細胞数依存性の謎を解明する。力学作用などの要因を考慮して研究を進め、必要に応じて数理モデルのさらなる改良にも着手する。
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Causes of Carryover |
研究の関係上、平成26年度は数理モデルの解析を中心に行った。そのため、消耗品等の購入が必要な(平成26年度実施を計画していた)一部の実験を本年度(平成27年度)実施することになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の経費とあわせて研究を効率よく進める。
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Research Products
(15 results)