2015 Fiscal Year Annual Research Report
ギャップ結合によるTuring波形成の普遍性の検討
Project/Area Number |
26650078
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡邉 正勝 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (90323807)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 体表模様 / ギャップジャンクション |
Outline of Annual Research Achievements |
生物の形態形成の基本原理として反応拡散原理(Turing)が重要であることが明らかになっている。反応拡散原理基づく体表模様形成では2種類の因子間の相互作用が重要であり、これにより細胞自律的にパターンが形成される。ゼブラフィッシュ体表模様においては細胞間で低分子化合物の移行を仲介するギャップジャンクションが重要な役割を担っている。ギャップジャンクションの機能変改により通常ストライプ模様を示すゼブラフィッシュの体表模様を様々なTuringパターンに変換できる。今回の研究では、ギャップジャンクションによる体表模様形成が普遍的な事象であるかどうかについて検討を行った。今回特に、種内で多様な体表模様(Turingパターン)を示すグッピーについて詳細な解析を行った。 ゼブラフィッシュの体表模様形成には2種類のコネキシン、Cx41.8とCx39.4が関与している。データベースサーチによりCx39.4は魚類系統のみで存在する遺伝子であり、最近の電気生理解析からCx41.8と協調的に機能していることが明らかになった。グッピーにおいて、Cx39.4は調べたすべての系統でアミノ酸配列は非常によく保存されていた。電気生理解析を行ったところ、ゼブラフィッシュのCx39.4に比べてゲーティング速度の低下が見られた。今後、この機能の違いがパターン形成にどのように関与しているのか、また、最近重要性が指摘されている細胞仮足の形成との関係を明らかにしていく必要がある。一方のCx41.8に関しては魚類の系統特異的に遺伝子重複が起こっていることが明らかになった。ゼブラフィッシュ、メダカ、フグの系統では遺伝子重複が起こっている一方で、グッピーやカワスズメの系統では遺伝子重複が起きておらず、機能的保存性に関する解析が必要である。
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