2014 Fiscal Year Research-status Report
初期胚発生におけるクエン酸合成酵素の新規機能の解明
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26650083
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岩尾 康宏 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10144916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 秀一 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80363092)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 卵割 / 初期胚細胞周期 / 微小管 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の初期発生に必須な卵割では、大きな細胞が急速に分裂することが必要である。通常はミトコンドリア内にあるクエン酸合成酵素(CS)がミトコンドリア外で微小管と相互作用し、卵内のCa2+シグナル経路の活性化して減数分裂を再開する。今回、この酵素の体細胞分裂(卵割)における新規機能を両生類胚をモデルとして明らかにした。 (1)ツメガエルとイモリの卵成熟過程から初期胚細胞周期において、クエン酸合成酵素(CS)の細胞骨格系とIP3-リセプター型Ca2+ストア(小胞体)での分布と機能を明らかにした。抗CS抗体、抗チューブリン抗体、抗IP3-リセプター抗体を用いた蛍光抗体法と共焦点レーザー顕微鏡による詳細な観察をおこない、その細胞骨格と小胞体での分布挙動を明らかにした。さらに、実際に生きた細胞内での挙動とシグナル伝達機構を確かめるため、蛍光タンパク質を融合させたCS、小胞体マーカー(KDELタンパク質)、ミトコンドリアマーカー(移行シグナルペプチド)のmRNAを受精卵に注入して蛍光融合タンパク質を発現させ、イメージングシステムを用いて観察した。細胞内Ca2+濃度変化とともに、細胞表面のMMPやGM1との関連を調べた。 (2)卵割は、ツメガエル卵ではS期(20分)とM期(10分)からなる極めて短い細胞周期をもつ。また、卵の直径は1.2 mmであるため、星状体微小管は1 mm以上伸びることが必要であり、紡錘体も数分間で500 um以上伸張して染色体を娘細胞に運搬する必要がある。卵割期での細胞骨格質型CSの機能を調べるために、抗CS抗体を受精卵に注入して機能阻害すると微小管の機能も阻害され、両者の密接な関係が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画中の(1)クエン酸合成酵素(CS)の細胞骨格系とCa2+シグナリングでの役割の検討と(2)クエン酸合成酵素(CS)の卵割における機能の解明に関してはほぼ計画通り実験等を進めることができた。一部、ツメガエル細胞質中でCSと相互作用している分子の同定が遅れているが、近々おこなう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画どおりに、本年度は(3)細胞骨格型クエン酸合成酵素(CS)の分子機能の解明と(4)神経・筋分化におけるクエン酸合成酵素(CS)の役割の解明に関する実験を中心に進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究計画の一部であるツメガエル細胞質中でCSと相互作用している分子の同定が未完了であるため、次年度に継続して研究をおこなう必要があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な試薬、プラスチック器具等の物品に使用する。
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Research Products
(6 results)