2015 Fiscal Year Research-status Report
量的遺伝子座(QTL)解析によるC4化ゲノム変異の同定
Project/Area Number |
26650097
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
宗景 ゆり 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (30423247)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 遺伝学的解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
高温や乾燥環境下でもCO2を濃縮することにより高い光合成活性を維持できるC4型光合成は、亜熱帯や半乾燥地域の草原に生息する植物が進化的に獲得した機構である。本研究では、従来のような、C4型酵素群の導入によるC3型作物のC4化ではなく、進化過程を模倣した遺伝子改変によるC4化分子育種を目指して、C4型への進化に関わるゲノム変異を明らかにする。Flaveria属植物(キク科)には、C3型からC4型への進化の途中に位置するC3-C4中間型の種が数多く現存し、これらのうちC3-C4中間種とC4型に近いC4様種の間では交配可能である。C3-C4中間種とC4様種のF2交雑集団を用いて、量的遺伝子座(QTL)解析を行う。 当該年度は、C3-C4中間種F. floridanaおよびC4様種F. browniiの交配により得たF2集団を用いた表現型解析およびFlaveria属の染色体解析手法の立ち上げを行った。 1.F2集団を用いた表現型解析 C4様種F. browniiでは、C4型に特異的なクランツ構造が観察されるがC3-C4中間種F. floridanaでは、この構造は観察されない。F. floridana×F. browniiのF2集団の解析を行った結果、この構造が現れる頻度はおよそ25-30%であり、F1個体では見られないことが明らかになった。従ってこの形質は、劣性であり一遺伝子座の変異に由来することが示唆された。 2.Flaveria属の染色体解析手法の立ち上げ Flaveria属の全ゲノム解析の結果ドラフトシーケンスを得ているが、QTLを行うために遺伝子地図の作製が必要である。そこで、研究協力者のサポートにより、Flaveria属の染色体観察に着手した。染色体の観察に適したサンプル調整に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
C4型に特有のクランツ構造の形成にかかわる遺伝子座が一か所である可能性が高いことがわかった。また、QTLにはいるための染色体可視化技術の立ち上げに部分的に成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、C4様種F. browniiおよびC3-C4中間種F. floridanaの染色体をfluorescence in situ hybridization(FISH)法により同定する。
|
Causes of Carryover |
染色体観察技術立ち上げに時間がかかり、導入は次年度に実施することになったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
染色体観察技術「fluorescence in situ hybridization、FISH」に必要な蛍光試薬、サンプルの固定剤、遺伝子発現やゲノム解析のために使用する予定。
|