2015 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイニンによる細胞分裂の活性化に関わるCDKフォスファターゼの解析
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26650099
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
梅田 正明 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (80221810)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発生・分化 / シグナル伝達 / 植物 / 蛋白質 / 酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトのCdc25を特異的に阻害する化合物NSC663284を用いて、シロイヌナズナの根の伸長、根端分裂組織のサイズ、細胞周期進行について解析した。その結果、NSC663284により細胞周期のG1期からS期への移行が阻害されていることが明らかになった。この結果は当初予想したG2/M期進行の阻害とは異なるものであり、本化合物がシロイヌナズナにおいては必ずしもCDC25の阻害剤として作用しない可能性を示唆している。そこで、NSC663284を使った実験は中止し、進化上基部に位置するゼニゴケを用いてCDC25の機能解析を行うことにした。ゼニゴケには動物のCDC25と相同なMpCDC25Aと、植物で最初にCDC25として報告された因子と相同性をもつMpCDC25Bの2遺伝子が存在する。植物のCDC25はその後別の機能をもつ因子であると報告されており、その実態は未だ不明である。まず、GUSレポーター系統を作成して各遺伝子の発現部位について解析したところ、メリステムや無性芽杯、中肋などで発現が確認された。過剰発現体の表現型を調べたところ、葉状体の細胞サイズが大きな系統が得られたが、それらの系統では細胞数が減少していたことから、CDC25A/Bが細胞分裂を正に制御する因子であることを確認することはできなかった。次に、分裂酵母のCdc25との機能的相同性を調べるため、温度感受性変異株を用いた相補試験を行ったところ、CDC25A, CDC25Bのどちらも弱い相補活性をもつことが明らかになった。制限温度下での酵母細胞を観察したところ、CDC25A/Bの過剰発現により細胞周期の進行阻害が抑圧され、短い細胞形態を示すことも明らかになった。そこで、ゼニゴケのノックアウト変異体を作出して表現型の解析を行ったが、目立った表現型は観察されなかった。今後はCDC25AとCDC25Bの両者をノックアウトした系統を作出して解析を進めていく予定である。
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[Journal Article] Transcriptional repression by MYB3R proteins regulates plant organ growth2015
Author(s)
Kobayashi, K., Suzuki, T., Iwata, E., Nakamichi, N., Suzuki, T., et al.
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Journal Title
EMBO J.
Volume: 34
Pages: 1992-2007
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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