2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26650112
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
野中 茂紀 基礎生物学研究所, 時空間制御研究室, 准教授 (90435529)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 平面内細胞極性 / 左右性 / 繊毛 / 基底小体 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス胚の左右性決定においては、ノードと呼ばれる部位にある繊毛の運動が創りだす左向きの水流が決定的に重要である。水流の生成には、ノード繊毛が腹側にあること、それが時計回りに回転運動すること、その回転軸が細胞表面に対して胚後方に傾いていることが必要であることを我々は見出し、これが左右の区別のないところからde novoに区別を生み出す機構だと提唱している。一方で、他のグループからは繊毛の運動パターンに左右差があることを示唆する報告も出されている。 ノード繊毛自体に左右の極性があるかという問題について、我々は繊毛の基部にある基底小体(basal body)の構造に着目した。ノード繊毛の基底小体は中心体の母中心子(mother centriole)と共通であり、そこにはbasal footと呼ばれる構造が2つある。Basal footは、典型的な繊毛においてはひとつであり、その位置は有効打の向きと一致することが知られているからである。 当初の計画ではbasal footの向きをシリアルブロックセクショニングSEMで観察する予定だったが染色方法に問題があることがわかったため方針を変更し、今年度は光学顕微鏡の超解像技術を用いて向きを調べられないか検討した。まず抗体染色でノード組織のbasal body本体とbasal footをラベルできるようにした後、オリンパス社、ツァイス社それぞれの超解像顕微鏡で観察した。いずれにおいてもかろうじてだがbasal footの異方性を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画ではbasal footの向きを確認するのにシリアルブロックセクショニングSEMを用いる予定だったが、この技術で用いられる染色方法がbasal footの染色にはあまり向かないことがわかったのが昨年度の結果である。今年度は方針変更し、光学顕微鏡の超解像技術を検討し、その有用性を確認した。方針変更後の進捗は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
超解像顕微鏡で得られる染色像は、染色方法に起因するのか超解像処理に起因するのかはわからないが、basal foot以外の部分にもドット状のノイズがみられ、本来のシグナルと区別は可能だが紛らわしい。この区別のやり方を標準化しbasal footの極性を測る方法を確立した上で、マウス胚の左右決定前後の各ステージを観察し、繊毛構造に左右極性が存在するのか検証する。もし何かしらの極性が見られた場合、それが左向きの水流の影響や元々ノード細胞が持つ頭尾軸方向の平面内細胞極性に由来する可能性を検証するため、繊毛が動かず左右性決定がランダムになるiv/iv胚、頭尾軸方向の平面内細胞極性が失われる変異胚を観察する。
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Research Products
(6 results)