2016 Fiscal Year Annual Research Report
Circumferential asymmetry of mouse nodal cilia
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26650112
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
野中 茂紀 基礎生物学研究所, 時空間制御研究室, 准教授 (90435529)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 繊毛 / 左右性 / 発生学 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の発生ではノード繊毛の運動による左向きの水流が将来の左右非対称な形態形成を引き起こす。この繊毛は時計回りに回転運動するが、左と右に向かうときで角速度が変化する左右非対称な回転パターンを示す。それが粘性抵抗の違いによる結果なのか、構造的な非対称に基づく能動的なものなのかは決着がついていない。 そこで、ノード繊毛の体軸に対する方向性を検出すべく、光学顕微鏡の超解像技術を用い、繊毛基部にあの基底小体の方向性を、中心小体(centriole)のマーカーであるγ-tubulin、basal footのマーカーとされるODF2、それぞれに対する抗体による二重染色で検出することを試みた。 これは繊毛を有する母中心子(mother centriole)にのみbasal footが存在するという前提で計画した実験だったが、予期しなかったことに、ODF2抗体のシグナルは、ある程度の異方性はあるものの母娘両方の中心子に局在が見られた。そこでbasal footに局在するという文献報告のある他のタンパク質、centrin-1、galectin、ε-tubulinについても抗体染色を行ったが、いずれもbasal footらしき染色パターンは見いだせなかった。そのため、当初の最も大きな目的であった、basal footの方向性を検出するには至らなかった。 一方、母娘の区別はともかくγ-tubulinによってノード繊毛基部にある2つの中心子は見えたので、これが体軸に対して方向性を持つか調べたが、ノード繊毛が左向きの水流を作り始めるlate headfold期から非対称な遺伝子発現が見られる2体節期まで、発生ステージにかかわりなく基本的に偏りは見られなかった。この結果は「回転運動の非対称は粘性抵抗による結果である」ほうのモデルを弱いながらも支持する。
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