2014 Fiscal Year Research-status Report
テナガショウジョウバエ性的二型の分子機構:体サイズと内分泌支配の関係について
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26650113
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡本 直樹 独立行政法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, 研究員 (10577969)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 性的二型 / 体サイズ / ショウジョウバエ / 比較内分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物界では、性的二型の特徴として、体サイズの変化、オスの体の一部の形態が発達・変形する例がしばしば観察される。モデル生物、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)では体サイズがメスよりオスの方がわずかに小さいのに対し、近縁種テナガショウジョウバエ(Drosophila prolongata)では前肢にオス特異的な形態変化が観察され、体サイズもメスよりオスの方が明確に大きい。本研究では、オスの性的二型の特徴が分子機構で成り立ち、進化してきたのかを解明することを目的とし、D. prolongataを用いて、オス特異的な形態変化に伴う、体サイズの制御機構を解析する。本年度は、D. prolongataとD. melanogaster、両種における基礎的な発生過程を詳細に比較するため以下の解析を行い、D. prolongataのオス巨大化のメカニズムの一端を明らかした。 1.D. prolongata、D. melanogaster両種における体サイズ、細胞サイズ、細胞数を解析し、D. prolongataオスの細胞数の増加がオス巨大化の要因であることを明らかにした。 2.D. prolongata、D. melanogaster両種における各発生ステージ(胚発生期、幼虫期、蛹期)を詳細に解析し、D. prolongataオスのみ明確に約1日の幼虫期の延長が見られることを明らかにした。 3.D. prolongata、D. melanogaster両種における幼虫期における成長率を解析し、D. prolongataのオスの幼虫期における成長率増加がオス巨大化の要因であることを明らかにした。 以上の研究により、D. prolongataのオスの幼虫期の延長、成長率増加による体全体の細胞数の増加がオス巨大化の要因であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、D. prolongataのオス巨大化のメカニズムの一端を明らかにすることができた。当初の計画では、本年度中に遺伝子発現解析も行う予定であったが、すでに遺伝子発現解析を行うための全てのサンプリングは終了しており、おおむね順調に進展していると言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、D. prolongataのオスの幼虫期の遅延、成長率増加による体全体の細胞数の増加がオス巨大化の要因であることを明らかにした。しかしながら、どのような遺伝子、シグナル伝達経路によりそのメカニズムが制御されているのかは不明である。そこで、今度、幼虫期間の決定を制御するエクダイソン経路、幼虫期における成長速度を制御するインスリン/IGF経路の構成因子に着目して、遺伝子発現解析を行うことで、D. prolongataのオス巨大化の分子メカニズムを解明する。
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