2014 Fiscal Year Research-status Report
複眼進化研究の新機軸:視細胞のdeep homology
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26650117
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
蟻川 謙太郎 総合研究大学院大学, その他の研究科, 教授 (20167232)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 複眼 / 視細胞 / 進化 / 発生 / ショウジョウバエ / チョウ類 / 調節因子 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、複眼の進化研究に視細胞のdeep homologyを新機軸として加えて感桿構造の多様性を評価、視覚系の進化に関する理解を深めることを目的とした、ユニークな試みである。ショウジョウバエ複眼を構成する個眼には視細胞が8個含まれるが、アゲハ個眼ではこれが9個になっている。形態から判断するかぎり、アゲハではショウジョウバエのR7が重複して2つになっているものと考えられる。まずこの点を確認するために、米国ニューヨーク大学のClaude Desplan教授およびMichael Perry博士研究員と協力して実験を始めた。 アゲハ複眼から抽出したmRNAでtranscriptome解析を行い、ショウジョウバエspineless, yellow, dve, prosperoのホモログをアゲハで同定した。spineless, dve, prosperoおよび、アゲハの青オプシンと紫外オプシンに対する抗体を作成、発生中の複眼原基で免疫組織化学を行った。5日目の組織で、各個眼に2つずつprosperoの発現が確認され、ショウジョウバエR7が重複している状況が、初めて分子レベルで確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Transcriptome解析、抗体作成、免疫組織化学のすべてが予想を上回る速さで進展し、アゲハ個眼に2個ずつ存在する短波長受容細胞(紫外線オプシンまたは青オプシンを発現する視細胞)が、ショウジョウバエ中心視細胞のひとつR7に対応する細胞であることが、分子レベルで初めて明らかになった。同様の結果が、アゲハのみならずヒメアカタテハでも得られた。 昨年度中にMike Perry博士を招聘するために申請していたJSPS外国人特別研究員(短期)も採択され、同博士は7月下旬から2ヶ月間、来日した。これも本研究の当初の計画以上に進展した要因のひとつである。
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Strategy for Future Research Activity |
5日目複眼原基ではprosperoの発現が確認できたが、個眼配列のランダム性を担うと考えられるspinelessの抗体は反応性が高くなかった。このため、抗体を再び作り直して免疫組織化学を行う。また、5日目では青オプシンのmRNAは発現しているが、タンパク質の合成とは時間差があるようで免疫反応性は観察されず、したがって個眼タイプの同定が困難だった。アゲハ赤オプシンの抗体も作成、この点の解決を目指す。さらにspineless遺伝子の発生調節上の機能を探るため、アゲハ卵に遺伝子を注入、CRISPR法で遺伝子を編集した複眼を精査する。色素合成に関係する遺伝子yellowをknock-outした卵からは、翅色が薄くなった個体が4頭羽化し、実験プロトコルの妥当性を確認することができた。
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Causes of Carryover |
海外から研究者を2ヶ月間招聘するために準備していた資金が、外国人特別研究員(短期)が採択されたために余剰になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに抗体を作成する必要が出てきたので、その関連費用に充当する。
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