2015 Fiscal Year Annual Research Report
RNAスプライシング因子に依存した抗体遺伝子高頻度突然変異の新規な制御機構の解明
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26650126
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金山 直樹 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (70304334)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | SR / スプライシング / AID / DT40 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗体の抗原に対する高親和性は、抗体遺伝子上に起こる体細胞高頻度突然変異(SHM)によって向上する。本研究では、RNAスプライシング因子SRSF1のアイソフォーム(SRSF1-3)がSHMに関与する分子機構を明らかにする。 SHMの鍵因子であるAID、およびSRSF1-3を、それぞれ、GFP、mCherryとの融合タンパクとして発現させるためのベクターを作製し、マウス線維芽細胞NIH3T3へ導入し、一過性発現系での各因子の局在性の関係について検討した。AIDは核で作用すると考えられているにもかかわらず、AIDタンパク質のほとんどは細胞質に存在する。本実験系でも、AID単独の導入では細胞質への局在が確認された。SRSF1が核への移行する際、RSドメインのリン酸化を必要とするが、RSドメインを有しないSRSF1-3はこの系では核に局在した。興味深いことに、AIDとSRSF1-3を共発現させると核に局在化した。すなわち、SRSF1-3は、AIDの核局在における役割があることが示唆された。 一方、DT40細胞での安定形質転換体では、SRSF1-3の存在にもかかわらずAID融合タンパク質は細胞質に局在したことから、定常状態でAIDを細胞質に局在させるフィードバック機構の存在が示唆された。また、レプトマイシン処理によってAIDの核外輸送を阻害すると、SRSF1-3を発現しないDT40細胞でもAIDの核への輸送が確認された。さらに、野生型のAIDを発現するDT40細胞では、SRSF1-3の過剰発現はSHMを増強したのに対して、核外輸送シグナルを欠損したAIDを発現するDT40細胞ではSRSF1-3の過剰発現の効果が見られなかったことから、SRSF1-3の機能とAIDの核外排出の制御に関連があることが考えられる。これらの結果から、SRSF1-3はAIDの核外排出の制御に寄与していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)