2015 Fiscal Year Research-status Report
新規な長鎖逆方向反復配列の役割と分子機構に対するゲノムワイド解析
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26650127
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片山 勉 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (70264059)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺伝学 / 遺伝子 / ゲノム / 細菌 / 生体生命情報学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の準備段階において、大腸菌と出芽酵母のゲノムデータベースを利用して独自のプログラムにより多数の長鎖逆方向反復配列(LIR)を見出していた。また大腸菌の1種のLIRについては遺伝子間領域にあり、欠失変異を作成して解析した結果、この領域は低温での細胞増殖に必要となることを見出していた。昨年度までに、遺伝子間領域であるにもかかわらず、この領域から転写産物が得られることを見いだしていた。今年度は、まず転写領域の解析を行い、見いだしたLIRを含む比較的長い領域がRNAに転写されていることがわかった。このRNAは上流遺伝子からの転写流入により発現していることも示唆された。LIR上流の遺伝子にはターミネーター様の構造があるものの配列上完全ではなく効果的に機能していないのかもしれない。LIRを含む欠失変異体の低温感受性が、欠失領域のDNA断片をもつプラスミドの導入によって相補されるので、この領域における低温での細胞増殖に重要となる因子はcis機能をもつDNA因子ではなく、何らかの機構でtrans機能を持つDNA因子であるか、あるいは発現しているRNA因子であることが示唆された。さらに昨年度は出芽酵母を用いて数種の欠失変異を作成して解析した結果、細胞増殖に必須となると思われるLIRを1種見いだした。今年度は、まずデータベース解析により、このLIR に隣接した部位に1種のステム-ループ構造を取りうる変形逆方向反復配列があることを見いだした。またこの領域内に転写因子の認識配列が複数あることも示唆された。そこでこの領域の解析を更に進めるため、周辺部位を含め欠失領域を変えて新たに数種の変異体の作製を進行させ、これらの部位との対応関係を解析した。並行して、これまで表現型が見らなかった他のLIR欠失変異体についても、数種の新たな条件下で野生株と比較検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は計画以上の進展が見られた。今年度は、大腸菌でも出芽酵母でも、昨年度の成果に基づき、合理的な進展が見られたものの、計画以上に進行した訳でもないため。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸菌LIR領域については今後、コピー数やRNA発現レベルを変えるなどの解析を行い、細胞増殖制御への役割を解析する。またデータベース解析も進め相補的な塩基配列を持つ領域が他にないかも検討する。出芽酵母LIRについては、新たに作成した欠失変異体の解析結果をまとめ、順次、詳しい解析へと進行させる。またこれらの成果をまとめ、学会発表を行う。
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Causes of Carryover |
特に出芽酵母については、多数の欠失変異体、および、欠失領域や周辺遺伝子による相補性試験を行うための株作りに時間がかかっているため、その構造や表現型の解析が遅れがちになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
出芽酵母では数種の変異体の作成を進めており、順次、構造を確認して、表現型解析を行っている。今後もこのように段階的に進めてゆく。全体としてはおおむね計画通り進行しているので、今後も計画にしたがって着実に遂行してゆく。
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Research Products
(2 results)