2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26650131
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
細 将貴 京都大学, 白眉センター, 助教 (80557695)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 発生 / 進化 / 歯 / 脊椎動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、左右非対称な歯列をもつセダカヘビ類の歯列の形成メカニズムを明らかにすることを目的とする。実験で必要な卵を得るために成熟したタイワンセダカヘビを台湾北部において採集した。採集個体のうち4個体から合計29個の卵を得ることができた。しかし、未受精卵や発生が止まってしまった胚も多く、実際に実験に使用できる胚は7割程度だった。今回得られたセダカヘビの卵を用いて歯芽形成に関わる遺伝子の発現解析(in situ ハイブリダイゼーション)を行なうため、標的遺伝子のサブクローニングを試みた。実験室内で産卵されたタイワンセダカヘビとイワサキセダカヘビの卵から胚を取り出し、RNAの抽出を行なった後、cDNAの合成を行なった。得られたcDNAをもとに、目的の遺伝子のサブクローニングを行なった。その結果、歯芽形成関連遺伝子であるShh、Bmp2、Bmp4、Fgf4、Fgf8、Wnt3、Wnt4、Wnt7、Osr2, Lef1、Axin2の遺伝子の単離に成功した。また、左右軸決定のマーカー遺伝子であるNodalとPitx2についても同様に単離することができた。さらに、Shhについてはコーンスネーク胚を用いてin situハイブリダイゼーション(ISH)による発現解析を行なった。その結果、歯芽形成領域での発現を観察することができた。本年度は発現解析を円滑に行なうための下準備として重要なデータを得ることができており、次年度に繋がる研究成果といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は研究課題を達成するための準備に多くの時間を費やすこととなった。繁殖シーズンに得られたセダカヘビの卵の数は全体として少なく、更にそこから正常な発生を進めることができたのは7割程度であったため、当初予定していた実験用のサンプルを十分に入手できなかったことが、研究をやや遅らせてしまっている主な原因である。しかし、その一方で、新鮮なサンプルから得たRNAサンプルを有効に利用し、当初予定していたShh以外の複数の関連遺伝子を単離することができた。そのため、次年度以降の発現解析(in situ ハイブリダイゼーション)に必要なプローブの準備を整えることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の大きな問題であった発現解析に使用するセダカヘビの卵を数多く集めることが今後の研究課題である。野外から成熟したセダカヘビを採集するだけではなく、実験室内での繁殖を進めることで、より多くの卵を得るような工夫が必要である。また、産卵後すぐの卵の扱いがその後の発生を正常に進める上で重要であることが本年度の実験から明らかとなったため、次年度以降は孵卵器を用いた空中湿度の管理などを徹底することで、得られた卵をより高い割合で正常に発生させることが期待できる。本研究の課題であるセダカヘビの左右非対称な歯の発生過程を理解するためにセダカヘビの卵を上述した方法で確保することが非常に大事である一方で、左右対称な歯の形成過程との比較もする必要がある。そこで、ヘビの発生研究でメジャーな実験材料であるコーンスネークを用いて歯の発生過程の記載を行なう。コーンスネークの胚はセダカヘビに比べ、非常に扱いやすいため、どの発生段階の卵を重点的にサンプリングするかを決める上でも本研究を遂行する際に重要な研究成果が期待できる。遺伝子の発現解析に必要な遺伝子は既に単離が終了しているため、次年度以降は解析用のサンプルが揃い次第、すぐに実験を進められることができる。特に、計画当初から予定していたShhの発現パターンを胚の発生過程にそって観察することが次年度における最優先の実験である。
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Causes of Carryover |
実験に使用する予定の試料が十分な数で得られず、結果として試薬や解析ソフトウェアの購入が先送りされたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画の進行とともに順次使用していく。
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Research Products
(2 results)