2014 Fiscal Year Research-status Report
セントラルドグマへのマイクロ波加熱による進化への効果
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26650137
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
吉村 武朗 東京理科大学, 理工学部, 助教 (10580938)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 導電損失 / 誘電損失 / 加熱用共振器 / 遺伝子増幅 / 無細胞翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、セントラルドグマという生物の基本原理と、マイクロ波という電磁気学を掛け合わせ、生命の進化への電磁波による促進効果を明らかにすることである。本申請のセントラルドグマの複製、転写、逆転写、翻訳の家庭における電磁波の効果を明らかにすることで、地球誕生から最初の生命誕生までの6億年における生命進化に対する新たな知見を得ることが出来る。加えて、マイクロ波の進化への影響を明らかにするだけでなく、電磁場環境下の生物への考察や酵素反応の促進技術としての応用も期待できる。研究実施計画においてH26年は、マイクロ波装置の改良と転写や無細胞系の構築を予定した。H26年に高精度のサーモグラフィを購入させて頂き、マイクロ波を照射しながら光ファイバー温度計と同時に温度測定できる実験系を構築することができた。またマイクロ波加熱による反応促進の根拠を明らかにするための共同研究によって、無細胞系PUREfrexとローリングサークル型遺伝子増幅反応の誘電率の測定ならびに電界損失シミュレーションで大幅な進展があった。また反応系の構築は、例えば無細胞翻訳系であれば3種のタンパク質発現を予定していたがモデル反応など簡便な2種に絞るなど、実験系は極力シンプルにしてマイクロ波による促進メカニズム解明へのアプローチをセットで成果を出すよう方向転換をおこなった。H26年度の顕著な成果は、共同研究によって2015年電子情報通信学会 信学技法に6ページの成果を発表できたことである。これら研究の過程で、マイクロ波加熱による結果の違いは反応成分の導電損失と誘電損失が大きく関わっていることが示唆されている。H27年は、セントラルドグマの各反応を調べることと、それらメカニズムに対しても電界損失の観点からマイクロ波加熱効果の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、セントラルドグマの反応系の構築も注力する予定であったが、反応促進の結果のより高い信頼性を示すためにはメカニズムを示唆する結果の必要性をこれまでの学会等で感じた。これまでの我々の研究で、マイクロ波環境下においてRCA反応の成分の加熱されやすさが異なることが分かった。そこで、共同研究を依頼し、装置の電磁界シミュレーションと反応成分の誘電率測定をおこなうなど研究の方向転換をおこなった。一見、当初予定に対して遅延しているように見えるが、本来の研究の目的をより適切に達成するために着実に進展できていると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年は、遺伝子増幅反応における電磁界シミュレーションで示されたマイクロ波化学加熱の成果を、IEICEへの論文投稿する。無細胞翻訳系PUREfrexによるタンパク質発現と発現タンパク質DANを用いて転写へのマイクロ波効果を調べ、論文投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
研究の推進にあたり、より高精度に温度測定可能なサーモグラフィに対して当初の計画より大幅に増額した投資をおこなわせて頂き、より信頼性があるデータを得ることができた。その一方、予算の2年目と1年目のバランスを考慮した結果として、次年度使用額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27ぶん科研費は論文投稿費用や論文校正費用に使用予定である。
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