2014 Fiscal Year Research-status Report
One Fungus One Name に対応した酵母の分類体系の完成
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26650148
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高島 昌子 独立行政法人理化学研究所, バイオリソースセンター, ユニットリーダー (20333304)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | One fungus one name / Trichosporon |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、Trichosporon属および関連菌類の17種について、ドラフトゲノムデータからAFTOL遺伝子(RPB1, RPB2およびTEF1-alphaの解析に使用されている領域)を得てconcatenateした系統樹を作成したところ、LSU rRNA遺伝子のD1/D2領域に基づく系統樹等それまでに報告されているものよりは解像度がよかったが、OvoidesクレードのTrichosporon属内の位置や、Cryptococcous curvatusの位置など、系統樹の基部の部分の解像度はあまりよくなかった。 そこで系統樹の解像度を増加させることを目的に、個々のドラフトゲノム配列全体からオーソロガス遺伝子30個を選び、CDS領域を連結して系統樹を作成した。作成した系統樹は極めて解像度がよく、Trichosporonales目における供試した種の関係が明らかになった。また遺伝子毎に系統樹を作成し連結系統樹と比較して選んだ遺伝子の評価をしたところ、単独で使用してもAFTOL遺伝子よりよい解像度が得られると推定される遺伝子を得ることができた。本結果をPLOS ONEに投稿し、現在リバイス中である。 また、タイ国バンコクで開催された第10回国際菌学会(IMC10)に参加し、酵母の国際命名サブコミッティーのメンバーとして国際コミュニティーのメンバーと分類体系に関する議論を行った。まだ議論中で結論がでていない分類群が多いが、第21回酵母合同シンポジウム、第58回日本医真菌学会総会・学術集会、および第8回新産業酵母研究会講演会にて、議論の概略を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度の目的としたTrichosporonales目の基部に位置する種の系統学的位置の明確化がまだ終了していないので遅れている。一方、27年度の計画としていたサビキン亜門について、中国科学院微生物研究所(Prof. Bai ら)およびオランダCentraalbureau voor Schimmelcultures (Dr. Boekhoutら)とAFTOL遺伝子を用いての系統樹作成に参画しており、この部分は次年度の計画を先取りしているため、全体として70%程度の進捗と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Trichosporonales目のうち、平成26年度の積み残しである、Trichosporonales目の基部に位置する種の属レベルの種の帰属の明確化、および必要に応じて新属の提唱などを行う。 ハラタケ亜門全体については、国際的な動向を見ながら基部に位置する種の帰属を目的とした系統樹作成と再分類を行っていく。その際、我々が26年度に得た遺伝子は有効であると推定する。 Rhodotorula属とRhodosporidium属については、平成27年4月にオランダで行われたワークショップ(高島参加)でも議論があり、国際コミュニティーが扱う問題として位置づけられている。解像度のよい系統樹が必要とおもわれるため、これにも26年度に得た遺伝子を用いることを検討中である。
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Causes of Carryover |
物品費として、プライマーの作成を含むサンガーシーケンスの費用を予定していたが、26年度はドラフトゲノムデータから系統樹作成に有効な遺伝子を得ることとその評価に多くの時間を費やしたため、実際のサンガーシーケンスには至らなかった。その分を27年度に持ち越して、27年度に行う予定である。 旅費については、2015年4月にオランダで開催される本課題に関わるワークショップに参加予定であった。事前に渡航伺い等を提出する時点でその予算が差し引かれると思っていたが、2015年に開催分は2015年に差引とのことであったため、差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度はTrichosporonales目の基部に位置する種の帰属、およびRhodotorula-Rhodosporidiumの関係を明確にするために、サンガーシーケンスを行う予定である。また、プライマーの設計がうまくいかない場合など、必要に応じてドラフトゲノム解析を追加する予定である。 上記ワークショップヘは既に参加した。
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Research Products
(4 results)