2015 Fiscal Year Annual Research Report
環境要因と性の相互作用による表現型の発現制御とその進化
Project/Area Number |
26650151
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三浦 徹 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (00332594)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 表現型可塑性 / 性的二型 / 環境要因 / 性決定因子 / 内分泌因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,同種であっても雌雄で表現型が異なる性的二型と,環境によって表現型が様々に変化する表現型可塑性・表現型多型に焦点を当て,性や環境情報がどのように生理情報を介して表現型の調節に至るのか,その至近メカニズムを解明するとともに,その進化プロセスを考察することを目的としている.前年度までの成果を引き継ぎ,今年度は数種類の昆虫の系統を用いて,性と環境条件による表現型発現機構の解明に取り組んだ. シロアリのカースト分化に関しては,タカサゴシロアリにおいて,雌雄の性によって幼若ホルモン濃度が異なることが示され,この生理状況の違いが,オスのみで兵隊分化が生じることと関連があると考察された.また,タカサゴシロアリの兵隊などに見られる額腺および忌避物質噴射のための筋肉機構の発達過程においても詳細なプロセスが解明された. クワガタムシにおいては,メタリフェルホソアカクワガタのオス特異的な大顎伸長に関し,Fat/Hippoシグナル経路が関与していることが,遺伝子発現解析および遺伝子機能解析から明らかとされた.また,大規模なトランスクリプトーム解析を実施した結果,性決定に関わる遺伝子群を網羅的に同定することに成功したため,これらについても発現および機能解析を行った.その結果,ショウジョウバエで知られる上流の遺伝子はクワガタの性差には寄与していないが,いくつかの遺伝子は性差発現に大きく寄与することが示された. 以上の成果は数報の学術論文としてまとめ,国際誌に投稿し,受理・掲載された.
|
Research Products
(6 results)