2016 Fiscal Year Annual Research Report
Metagenomic analysis of phages in the termite gut and potential for application in pest control
Project/Area Number |
26650158
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本郷 裕一 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (90392117)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 昆虫 / 腸内細菌 / ファージ / メタゲノム / 共生 / シロアリ |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は、前年度までに取得したファージメタゲノムデータの情報解析を進めるとともに、5種類のシロアリ腸内細菌のゲノム上のCRISPR配列(対ファージ防衛システム)との照合を行った。 まず取得済みの各腸内細菌ゲノム上のCRISPR領域を同定し、その「スペーサー」配列をリストアップした。スペーサー配列とは、その細菌系統に感染したファージなどの侵入DNA断片の記録であり、通常数10から100本程度が存在する。その結果、シロアリ腸内原生生物の細胞内共生細菌の1種のCRISPRが活動的である(つまりファージの侵入を受け続けている)ことを明らかにし、論文発表した(Izawa et al, 2016)。また、別の腸内原生生物細胞内共生細菌種のゲノム解析に付随して、ファージの環状ゲノム再構築に成功した(Ajeng et al, 2017)。 メタゲノム解析では、MiSeq(次世代DNAシーケンサー)で取得したDNA配列の7割以上がファージ由来であると判定され、全てが新種のものであった。シロアリにおけるファージメタゲノムはこれが初めての報告である(麦島ら、2016、学会発表)。これと上記の細胞内共生細菌ゲノム上のCRISPRスペーサー配列を照合した所、数10のファージ断片がスペーサーと一致していた。 これらの結果は、シロアリ腸内に新規なウイルス群集が存在することを初めて示すとともに、シロアリ腸内で必須の役割を果たす原生生物細胞内共生細菌がファージの攻撃を受けているという初めての証拠でもある。シロアリは腸内微生物群集と必須の相利共生関係を保持しており、それらを攻撃するウイルスの存在を明らかにできたため。今後、シロアリ駆除への応用も期待される。
|
Research Products
(8 results)