2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26650164
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中野 伸一 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (50270723)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 幸則 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (10285190)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 食物網構造 / 佐鳴湖 / シネココッカス / 動物プランクトン / 微生物食物網 |
Outline of Annual Research Achievements |
夏季にシアノバクテリアのSynechococcus属の大増殖が起こる静岡県・佐鳴湖において、①佐鳴湖ではなぜ動物プランクトンが少ないのか?、②本湖の食物網の構造は他の湖沼と異なるのか?、③本湖で卓越する食物連鎖は何か?、を明らかにすることを目的とする研究を行った。2015年の佐鳴湖では、2014年と同様、夏季にSynechococcus属(1ミリリットル当たり100から200万細胞)が、冬季に渦鞭毛藻類のKatodinium属が、それぞれ優占した。後者は、動物プランクトンの餌資源として機能し得るサイズと形態である。この結果は、植物プランクトン色素分析とも一致しており、初夏は珪藻によるフコキサンチンが優占であったが、8月と9月は藍藻によるβカロテンとゼアキサンチンが優占し、12月から2月までは、一時的に珪藻が優占するが、渦鞭毛藻によるペリディニンが優占した。 一方、動物プランクトン個体密度は、夏季・冬季ともにこれまで研究がなされてきた他湖沼と比べて低く、とくに冬季は甲殻類とワムシはほとんど検出できず、繊毛虫は1リットル当たり4.9個体であった。夏季は、ワムシが1リットル当たり18個体、甲殻類動物プランクトンはカイアシ類3.7 個体、枝角類0.2個体、繊毛虫7.2個体であった。平成26年度と今年度の結果を比較して、平成27年度の夏季(9月)にカイアシ類個体密度がより高かったのは、調査の前数日間に比較的雨量の高い降雨があり、佐鳴湖の湖水が交換し、淡水が卓越したことにより平常時の佐鳴湖のプランクトン組成とは異なったと考えられる。しかし、淡水卓越の系においてカイアシ類の増加が認められた原因については、今後の課題である。
|