2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26650170
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平崎 鋭矢 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (70252567)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ロコモーション / Structure from motion / 3D再構成 / 霊長類 / 無標点計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物にマーカーをつけることなく高精度の運動解析を可能にする「無標点3D運動解析法」を開発した。開発は、Structure from Motion法をベースに行った。静止画用のこの方法を動画解析用に拡張するには、画像の質と視点の数が克服すべき課題であった。本研究では、まず、できるだけ少ないビデオカメラ(視点)からの映像で、対象の3D再構成を達成するための最適条件を探り、高解像度のビデオカメラを、光軸が互いに10度程度の角度をなすように配置すれば、最少で4台分の映像から対象物の片側の表面形状を3D再構成できることを明らかにした。さらに、確立した手法を、実験室、および放飼場で運動する霊長類の身体表面形状3D再構成に試用し、手法の精度と実用性を評価した。具体的には、京都大学霊長類研究所において、実験室内や屋外放飼場で自由に歩行するニホンザル等を撮影し、映像から被験体の体表面の3D形状を再構成した。その結果、各種条件によって精度は左右されるものの、再構成は概ね可能であることが明らかとなった。成果は国際学術雑誌(Biology Open 3: 656-668)に発表し、多くの反響を呼んだ。 2015年度は確立した手法を用いて、各種霊長類の手の動きを計測した。ヒトの精細巧緻な手の機能の進化について調べるには、近縁の霊長類種との比較が欠かせないが、テクニカルな難点から分析が進んでいなかった。従来の方法では手指の動きは標点を装着しなければ計測できないが、標点を装着すると動きが妨げられるというジレンマがあったためである。本課題では、開発した無標点3D運動解析法を用い、ニホンザル、オマキザル、クモザルの手操作タスク時における各手指の動きの分析に成功した。成果の一部は2015年6月に英国で開催されたシンポジウムで発表された。分析と計測は現在も継続中であり、成果がまとまり次第公表していく予定である。
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