2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a quantitative morphological method to estimate a phyletic relationship of fossil and extant primates
| Project/Area Number |
26650171
|
|---|
| Research Institution | Kyoto University |
|---|
Principal Investigator |
西村 剛 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (80452308)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 直記 京都大学, 理学研究科, 助教 (70722966)
矢野 航 朝日大学, 歯学部, 助教 (80600113)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
| Keywords | ヒヒ族 / 幾何学的形態計測 / CT / 上顎洞 / 三次元可視化 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
化石霊長類と現生分類群との類縁関係の推定を困難にする一つの要因であるサイズ差異にともなう形状変異(アロメトリー)の効果を三次元的に可視化する手法を開発する。その新手法をもとに、アロメトリー効果を除去した形態学的特徴の進化的変化の数理的推定手法を確立し、その有用性を実証する。
平成28年度は、前年度までに収集したヒヒ族頭蓋骨のランドマーク三次元座標データを用いて、幾何学的形態学手法により、アロメトリー効果を除去した形態学的特徴の変異を明らかにした。ヒヒ亜族は遺伝的に2系統に分けられるが、その系統分岐を支持する形態学的特徴らに関する知見は乏しかった。本分析により、吻の細長ささと突顎の程度が、その系統分岐を裏付ける形状的特徴であることが示された。また、それらの特徴は、ヒヒ亜族とマカク亜族をも分かつことを示した。得られたランドマークの点データをもとに、それぞれの形状差異を三次元的表面形状の変化として可視化する手法を確立した。これらの成果については、国内外の学術会議等で発表した。また、この形状変異のデータを元に、鮮更新世ユーラシア産大型ヒヒ族化石について、ヒヒ族に共通するアロメトリー効果を除去した形状データの抽出に成功し、その三次元可視化を試みた。さらに、予備的に、その形状変異の形態空間上の位置について分析し、化石種の系統的位置について検討を加え、化石霊長類と現生分類群との類縁関係の推定への有用性を検討した。
一方、外部表面形状に影響を有する内部構造のうち、マカクザルの鼻腔と上顎洞の形態進化について分析した。上顎洞や鼻腔の形態変異は、他の周辺の構造物の機能形態学的変異に大きく影響受けて決まることを示唆した。
|
