2015 Fiscal Year Research-status Report
エンドファイト共生イネ科植物混植による園芸作物の線虫防除
Project/Area Number |
26660016
|
Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
古賀 博則 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (60290079)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 浩之 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (30397898)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | エンドファイト / サツマイモネコブセンチュウ / 生物防除 / 共生菌 / トマト / イチジク |
Outline of Annual Research Achievements |
ロシアで収集したエンドファイト共生イネ科植物の倍数性を調べた結果、2倍体で、葉舌が無いことから、メドウフェスクと推定された。また、この植物より分離・培養した エンドファイトは、分生子やフィアライドの形態から、Neotyphodium coenophialumと推定された。 一方、エンドファイト共生植物との混植がサツマイモネコブセンチュウによる被害を軽減することを明らかにする方法として、作物の被害を調査することの他に、作物の根周囲の線虫密度を測定する方法がある。そこで、本学のトマト圃場を想定し、同圃場でのメタゲノム法によるサツマイモネコブセンチュウの定量法について検討した。その結果、y=-2.790x+33.96 (R2=0.941)という検量線が得られた。このことにより、今後同圃場での土壌中の本線虫密度の定量化ができるようになった。 今後エンドファイト共生植物との混植によって、トマトの他に多年生のイチジクをサツマイモネコブセンチュウの寄生から防御する予定である。それに先だって、サツマイモネコブセンチュウのイチジクへの寄生過程を光学顕微鏡および電子顕微鏡でトマトの場合と比較観察した。イチジクもトマトと同様に巨大細胞を形成して、そこから養水分を吸収するところは同じであった。しかし、トマトの場合、卵のうは根の外部のみに形成され、卵は土壌中でふ化した。それに対しイチジクの場合は、卵のうは根の外部だけでなく、根の内部にも形成され、根内でふ化していた。このことは、本線虫がイチジク根内に一旦侵入すると本線虫の防除は極めて困難になることを示唆している。したがって、イチジクの場合は、エンドファイト共生植物による本線虫の寄生防止が、極めて有効な防除法となる可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
土壌中のサツマイモネコブセンチュウ密度を測定する検量線が得られたため、エンドファイト共生植物との混植が本線虫による被害だけでなく、作物の根のまわりの線虫密度に及ぼす影響についても調べることができるようになった。 また、サツマイモネコブセンチュウが寄生したイチジクでは、卵のうが根内にも形成され、根内で卵がふ化して、本線虫が増殖することが明らかとなった。このため、本線虫の防除には常に線虫の侵入を防ぐ必要がある。これにはエンドファイト共生植物との混植による防除法は適していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
エンドファイト共生イネ科植物を移植あるいは種子を播種したポットにイチジクを栽培し、そこにサツマイモネコブセンチュウを接種して、根こぶ形成と根の周りの本線虫密度を測定する。対照として、イチジクのみの栽培区とエンドファイト非共生イネ科植物との混植区を設けて試験をする。ロシアで収集したエンドファイト共生イネ科植物以外に、葉身が針状で動物が食する心配のない、エンドファイト共生のハードフェスクなどについても、同様に防除効果を試験して、実用性のあるエンドファイト共生植物を選抜する。
|
Causes of Carryover |
残額が532円と極めて少額であったため、物品購入ができなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に他の物品を購入時に合計して使用する。
|