2014 Fiscal Year Research-status Report
フラボノイド・カロテノイド生合成経路の花弁特異的同時制御による花色改変技術の開発
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26660022
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 栄 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (80397017)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アントシアニン / カロテノイド / 花色 / 花弁特異的 / RNAi / ミヤコグサ / トレニア |
Outline of Annual Research Achievements |
フラボノイドおよびカロテノイド生合成経路を花弁特異的に同時制御し,花色改変する技術の開発を行うために,以下の研究を行った. 1.タバコ,ミヤコグサ,トレニアの各モデル植物に,フラボノイド生合成経路の転写調節遺伝子の1つであるシロイヌナズナ由来Atpap1遺伝子,および海洋細菌由来カロテノイド生合成遺伝子crtW(Paracoccus由来またはBrevandimonas由来)を,全身高発現CaMV35Sプロモーターで制御し導入した.その結果,タバコでは,全身が赤色の個体が得られ,葉および花弁には高濃度のアントシアニンおよびケトカロテノイドが蓄積した.ミヤコグサとトレニアではケトカロテノイドの蓄積により葉が濃緑色になったが,アントシアニンの高蓄積はみられなかった.花弁について,ミヤコグサは全体が黄色から橙色に変化し,トレニアも黄色部分が橙色に変化した.また,トレニア花弁の赤色部分は,アントシアニンの高蓄積により濃赤色に変化した.この結果より,3植物種で両色素生合成経路を同時に制御できることが示された.特に,両色素を花弁に持つトレニアでは,目視による色変化を花弁で確認できた. 2.次に,1での手法を花弁特異的に制御するため,差分的RNAi制御法を用いて形質転換を行った.アントシアニン色素について,全身高発現LjUbiプロモーターで制御したAtpap1遺伝子と,緑色器官特異的PnZipプロモーターでRNAi発現抑制したAtpap1遺伝子の統合ベクターを作成し,タバコに導入した.その結果,葉およびガクは緑色で花弁のみ濃赤色に変化した個体が得られ,本手法が花弁特異的遺伝子制御法として利用できることがわかった.この手法を,カロテノイド色素についても適用するため,ミヤコグサおよびトレニアに導入し,現在,再分化個体を作成中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
形質転換体の作出に多少時間を要するミヤコグサは,解析が少し遅れているが,想定内の範囲である.
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Strategy for Future Research Activity |
アントシアニン色素について,差分的RNAi制御法が適用できることが判明したので,今後はカロテノイド色素についても調査を行う.この手法を,ミヤコグサおよびトレニアに適用し,カロテノイド生合成経路の改変による再分化不能を回避することを目指す.
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