2014 Fiscal Year Research-status Report
イネいもち病抵抗性特異的に蓄積する新規フラボノイド化合物の同定と機能解明
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26660037
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| Research Institution | Miyagi University |
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Principal Investigator |
岩井 孝尚 宮城大学, 食産業学部, 准教授 (90510636)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津志田 藤二郎 宮城大学, 食産業学部, 教授 (00353920)
菰田 俊一 宮城大学, 食産業学部, 准教授 (50404843)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | イネいもち病抵抗性 / 物質精製 / ノックダウン植物 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
植物の病害抵抗性において、植物が最終的にどのように病原菌の増殖を抑制しているかを物質レベルで解明することは、より効果的な病害防除を可能にすると考えられる。我々は、イネいもち病抵抗性において過敏感反応に伴った一過的なエチレン・シアン合成反応が引き起こされ、シアンが未知の物質と共にいもち病菌の増殖抑制を行っていることを示唆した（2006 iwai et.al, 2011 seo et.al）。現在まで抵抗性特異的な未同定物質の蓄積と酵素遺伝子の発現を見出しており，本研究ではこれらがいもち病抵抗性と関連しているかを明らかにするものである。
今年度は1)未同定物質の精製方法の確立と2)抵抗性特異的に発現する酵素遺伝子をノックダウンする組換え植物の作出を行った。未同定物質の精製には，いもち病抵抗性を示すいもち病菌とイネ品種の組合せを材料として用いた。未同定物質は，菌接種後5日目のイネ葉から極性の異なる様々な有機溶媒を用いて抽出・分画し，さらに，部分精製画分は固相カラム，HPLCを用いた分取によって単一の物質に精製することができた。目的の酵素遺伝子のサイレンシングのためにamiRNAを作製し，アグロバクテリウム法によって植物材料としているいもち病抵抗性イネ系統に導入した。amiRNAの標的部位は目的の酵素遺伝子の5’側コード領域又は終止コドン付近の2種類を作製した。amiRNAの導入，発現が確認できた形質転換個体（T1世代）の自殖によって，導入遺伝子がホモ化され，amiRNAの発現が確認できたT2世代6系統を得た。今後は，機器分析により精製した未同定物質の化学構造を明らかにすると共に，作出したノックダウン植物での未同定物質の蓄積，いもち病抵抗性への寄与等について調べていく予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画は，1)未同定物質の精製方法の確立と2)抵抗性特異的に発現する酵素遺伝子をノックダウンする組換え植物の作出である。未同定化合物の精製方法については，複数の精製方法を検討し，最終的に3種類の精製方法を組み合わせて単一の物質に精製する方法を確立した。また，いもち病抵抗性特異的に発現する酵素遺伝子をノックダウンする植物の作出は，自殖第1世代（T1世代）でamiRNAの導入，発現が確認できた形質転換個体を選抜し，更に自殖を行って得たT2世代で導入遺伝子のホモ化とamiRNAの発現の確認を行い，最終的に6系統を得た。
現在までのところ，当初の計画通りに抵抗性特異的に蓄積する未同定物質の精製方法を確立し，同時にいもち病菌感染後の抵抗性イネ品種での未同定物質の蓄積パターンと遺伝子発現に相関が見られる酵素遺伝子のノックダウン植物を作出した。今後は，これらの成果を利用して最終的な目標である「いもち病抵抗性におけるイネの菌増殖抑制メカニズム」を明らかにしたいと考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は，機器分析により精製した未同定化合物の構造を明らかにすると共に，作出したノックダウン植物での未同定化合物の蓄積，いもち病抵抗性への寄与等について調べていく予定である。
いもち病抵抗性特異的に蓄積する未知の物質については，平成27年度にいもち病抵抗性を示す大量のいもち病菌感染イネ葉から，平成26年度に確立した方法により目的物質の大量精製とLC-MS/MSとNMR等による化学構造の決定を行い，いもち病抵抗性特異的に蓄積する物質の同定を行う。平成28年度には，いもち病菌感染後のイネ葉内での同定した物質の蓄積量の変化の詳細を明らかにすると共に，精製した同定物質とシアンによる協調的な菌増殖抑制作用をin vitroの実験系で明らかにする予定である。
抵抗性特異的に発現する酵素遺伝子については，平成27と28年度で平成26年度に選抜された形質転換体の系統を用いていもち病菌の接種を行い，酵素遺伝子の発現抑制効果の確認といもち病抵抗性との関係を明らかにする。さらに，選抜された系統のいもち病抵抗性の程度と酵素遺伝子の発現量，同定した物質の蓄積量との間の関係について明らかにする。関係が認められた場合には，イネ品種「日本晴」の抵抗性特異的に発現する酵素遺伝子の高発現組換えイネを作出し，いもち病菌に対する防除効果について検討する。
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| Causes of Carryover |
概ね予定額通りに助成金を使用したが，端数として429円を生じた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の消耗品等の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)
